2011 Fiscal Year Annual Research Report
サブストームトリガー・駆動機構の完全解明に向けた先端研究
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22340145
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
町田 忍 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70209469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 昭 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (50004479)
家田 章正 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (70362209)
能勢 正仁 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90333559)
三好 由純 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (10377781)
宮下 幸長 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 研究員 (20435811)
堀 智昭 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (30467344)
高田 拓 高知工業高等専門学校, その他部局等, その他 (80455469)
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Keywords | サブストーム / オンセット / 磁場双極子化 / オーロラ / AKR / GEOTAIL衛星 / THEMIS衛星 |
Research Abstract |
THEMIS衛星データを解析することによって、規模の大きなサブストームでは、成長期の特徴であるPlasma Sheet Thinningに伴う南向き磁場の変化が、相対的に地球側でみられ、それと同時に、オンセット後の磁気リコネクションに伴う地球向きの流れが著しく発達することが見出された。しかし、オンセット直前に地球向きのコンベクション流は、逆に、一時的に弱まるという不思議な傾向のあることが導かれた。一方、小規模なサブストームでは、成長期に見られる南向きの磁場変動が相対的に尾部側でみられることが明らかにされた。 また、GEOTAIL衛星のデータを用いた統計解析と、5機のTHEMIS衛星とGEOTAIL衛星による多点同時観測データを用いた事例解析により、波動によって尾部側から、(1)磁場双極子化開始領域に運ばれるエネルギーは、高速流が運ぶエネルギーの数10%程度であること、(2)磁気リコネクションは、磁場・イオン圧の勾配にあまり関係がなく、電子圧勾配の大きい領域の尾部側の端付近で発生すること、(3)磁場双極子化は、磁場・イオン圧・電子圧の勾配がある領域で開始することが明らかにされた。 さらに、AKR(オーロラ電波放射)スペクトルのデータを用いて、加速域の高度分布、季節変化、磁気活動度変化、プラズマシート電子温度との相関、加速域の微細構造、inverted-V加速域との関係等が調べられ、加速域の性質の統計像が明らかにされた。また、サブストームのオーロラ爆発開始1-2分前に、FAST衛星およびDMSP衛星が観測したオーロラ電子を調べた結果、オーロラ爆発直前に、diffuseアークがdiscreteアークに変化する現象が見いだされた。そして、その原因はbroadbandな電子の最高エネルギーが上がることによることが導かれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、前年度に得られたサブストームに伴う磁気圏尾部の変化とオーロラの対応、およびAKRの発生とオーロラの対応に関する解析結果を用いて、磁気圏とAKRの関係、さらに、AKRの発生に直接的に関わる沿磁力線電流と静電ダブルレイヤーの発達との相対的な関係を求めることに主眼を置いて研究を進める予定であった。さらに、各現象の開始時刻のタイミングを比較すると共に、オーロラ電流回路の交流的な変動としてPi2脈動を捉えて、それに関連した尾部プラズマ流速、沿磁力線電流、AKR強度、オーロラ輝度などのパラメーター間の応答特性を調べることによって、それらの因果関係を調べる計画であった。各現象に関して、新しい知見が得られたものの、そのような総合的な解析に遅延が生じてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気圏尾部においてオンセット前にみられるプラズマシート中央部に向かうDCポイティングフラックスの増大は、-12Re > X > -18Re(Re:地球半径)の領域では、北向きのダイポール磁場成分を持ちながら極端に引き伸ばされた磁場構造を持つ電流層の磁気ストレスを増大させ、それがプラズマ圧に打ち勝つことによって地球向きの流れを作り電流層を緩和させる。一方、X ~ -8Re付近では、プラズマ圧の増大が起こり、それを介して、沿磁力線電流が増大することが考えられる。低高度AKRの発生はこの過程が関わっている可能性が高い。電流層の緩和に伴う地球向きの流れは、その尾部側の境界において非常に薄い電流層を作る。そして、その領域において磁気中性線が形成されると考えられる。一方、この流れは、電流層の地球側にカレントディスラプションを発生させ、ウェッジカレントを発達させてゆくが、それに伴う沿磁力線電流、静電ダブルレイヤーの形成が高々度AKRを発生させるの ではないか、そのような予想のもと解析を進める。
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Research Products
(22 results)