2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ古地磁気学と局所年代学による惑星磁場研究の地質学的アプローチ
Project/Area Number |
22340146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 教博 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80302248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵藤 博信 岡山理科大学, 自然科学研究所, 教授 (50218749)
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Keywords | 局所レーザー消磁 / マイクロ古地磁気 / 地球磁場変遷 / 衝撃溶融脈 / サンゴ礁石灰岩 |
Research Abstract |
本研究の目的は現在開発中の局所レーザー加熱装置によるマイクロ古地磁気学を確立させ、微小領域放射年代学とのコラボレーションによって地球惑星科学問題を時系列で解明してゆくことである。まず今年度の技術開発として、ヤルキス社製スピナー磁力計を導入することで、残留磁化測定精度が一桁向上したため、これまで測定できなかった薄片試料や非線形磁化緩和理論の実験的検証で必要な単磁区磁鉄鉱を有するサンゴ礁炭酸塩岩の測定が可能になった。また、ランプ式レーザーの欠点であるレーザー出力の非線形性・不安定性のため、これまで実現できなかったスポット加熱時の温度管理を、高出力型レーザー出力調整器の導入することで、±5℃を実現できた。さらに、コンピューター駆動式ADコンバーター・交流コイル・高容量コンデンサーを導入し、レーザー加熱装置に交流消磁機能を付加するための技術開発を実施中である。これらによって、マイクロスケールの古地球磁場強度推定を可能になる。一方、地球の熱史を解明するために必要な数億年スケールの地球磁場強度の変遷に関する研究に関して、今年度は20億年前の南アフリカ・Vredefort隕石孔の地質調査および試料採集調査を実施した。Vredefort隕石孔の野外調査の結果、世界で初めて隕石孔周辺の磁気異常を生成するグラノファイアー岩脈と母岩の境界部の発見と試料採集に成功した。それらの試料を除き、衝撃を受けた花崗岩試料13サンプル・衝撃溶融脈試料20サンプルを採集した。今後、これらの試料に対してテリエ法に基づく古地球磁場強度推定実験を実施し、地球の熱史に制約を与えてゆく。さらに、放射光施設SPring-8において衝撃を受けた磁鉄鉱の化学組成・磁区観察を継続し、マイクロ磁気による理論計算を進めている。Tenham隕石中衝撃溶融脈の微細希ガス同位体年代測定は、原子炉での放射化を終えて冷却中である。今年度に幅数百ミクロンの衝撃溶融脈中の微小領域アルゴン年代推定実験を実施する。また、月面磁気異常の地下構造解析を月探査衛星データから解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は震災により実験機器の再調整に時間が必要であったため、当初の目的実現のための研究開発に時間をさけられなかった。その結果、論文執筆活動が極端に少なくなってしまい、業績があがらなかったことが反省である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度末に主要開発機器の再調整作業にめどが付き、さらに新たな測定装置も導入されたため、今年度はやや遅れている研究計画遂行を意識的に加速させてゆく予定である。そのための方策として、測定機器の自動ルーチン化を推し進め、すでに取得済みの測定データの解釈および執筆活動にあてる。
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Research Products
(12 results)