2010 Fiscal Year Annual Research Report
太古代大型微化石群からさぐる初期地球の生態系進化と生物多様性
Project/Area Number |
22340149
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉谷 健一郎 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (20222052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 耕一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80262848)
山本 鋼志 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70183689)
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Keywords | ピルバラクラト / 太古代 / 微化石 / 生態系 / 熱水活動 / 希土類元 / 重金属元素 |
Research Abstract |
太古代前~中期における表層生態系の進化と多様性に関する新たな知見を得ることを目的としてこの研究課題を行った。具体的には、前年度西オーストラリア・ピルバラクラトンで採集したスティルリープール層群の含微化石塊状チャートとストロマトライト構造を有するチャート(これらは同一地点から産出する)について、地球化学的特徴からその成因や堆積環境を推測し、さらには微化石やストロマトライト構築生物の生理・生態に関して考察を試みた。薄片観察により化学分析に適した試料を約30試料(含微化石チャート:20試料、その他チャート:10試料)選択し、主成分分析、微量成分(希土類元素を含む)分析を行った。その結果、含微化石チャートとストロマトライト構造を有するチャートでは希土類元素(+イットリウム)の濃度パターンや重金属濃度が大きく異なり、前者において顕著な正のEu異常が認められ亜鉛が高濃度であった。この亜鉛の高濃度は閃亜鉛鉱石の存在と調和的であり、熱水の寄与が大きいことが明らかとなった。後者は複数の試料全てについてCeの負異常が認められた。このようなチャートの岩相と化石タイプの違いに対応する化学的特徴の差異が明らかにされた例は少ない。塊状チャートには多様な微化石が含まれるが、そのうちの少なくともいくつかは化学的なエネルギーを熱水から得ていた可能性が示唆された。
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