2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山路 敦 京都大学, 理学研究科, 教授 (40212287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 活志 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (70509942)
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Keywords | 月 / 歪み / 応力 |
Research Abstract |
月の地殻歪を定量的に把握し、それをもたらした応力場を解明することが、月の起源と進化を解明する重要な糸口である。平成22年度は、月探査機「かぐや」の数値地形データ(DTM)を扱う手法を確立した。すなわち、まず、リモートセンシング・ソフトウェアENVIで注目する領域を選定し、その領域をファイルに保存したうえで、数値解析ソフトウェアMatlabで解析することができるようになった。またさらに、石油探査で使われる地下構造解析ソフトウェアMoveにそれを入力して、地層の変形を扱えるようになった。 このような作業と並行して、既存文献が豊富な晴れの海について、地殻歪を表す地形の解析を行った。具体的にはまず、既存文献の豊富な晴れの海で、グラーベンの分布を調べた。その作業のなかで、晴れの海北西部にあるCalippusというグラーベンが特異な形状をしていることに着目した。他のグラーベンと違って、谷の縁が周囲の溶岩平原より高くなっているという特異性である。このグラーベンでは、地形の詳細から約10%の剪断歪がおこったことがわかった。また、詳細地形のモデリングにより、この歪みを発生させた地下構造およびマグマだまりを推定した(惑星科学会および地質学会にて発表)。 また、歪みが断層群やマグマ貫入によって達成しているときに、その歪みの原動力を推定するときの方法論、すなわち応力インバージョンの研究をあわせて行った。Calippusグラーベンの特異な地形は、マグマ貫入に起因する可能性がある。そうした場合の応力の推定法を、Journal of Structural Geology誌に公表した。また、断層群によって地殻が変形する場合の応力の推定法を改善する方法を考案し、Computers & Geosciences誌に公表した。
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