2012 Fiscal Year Annual Research Report
活火山直下の力学的膨張源とマグマ溜まりの対応:実験岩石学的アプローチ
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22340159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (00092320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70222354)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 火山 / マグマ溜まり |
Research Abstract |
富士火山1707年宝永噴火では,玄武岩質マグマと珪長質マグマの混合が噴火に大きな影響を与えたことが知られている.そこで,噴火に関与した2つのマグマ源の深度を決定するために,珪長質マグマに由来する白色パミスと玄武岩質マグマに由来する黒色スコリアについて,ガラス包有物をFT-IRで分析するとともに,共存する班晶鉱物とガラスの組成を EPMAで分析した. 白色パミスに由来する斜方輝石斑晶中のガラス包有物は,4-4.5 wt%の水を含んでおり,これは100-150MPaの飽和圧力に相当する.一方,共存する角閃石班晶の組成からは平均 110MPa,両輝石班晶の組成からは平均140MPaの圧力下でこれらの班晶が結晶成長したことが明らかになった.さらに,石基ガラスの組成からは 100MPaの平衡圧力が得られた.複数の手法による圧力の推定値が収束しており, 白色軽石のもとになった珪長質マグマ溜まりは富士山の地下4-6km(圧力100-150MPa)に存在したと考えることができる.富士火山の浅部マグマ溜まりの深度に関して明確な制約を与えることができたのは本研究が初めてである.ガラス包有物の含水量とその捕獲形態を考慮すると,マグマ溜まりにおいて珪長質マグマは噴火前に揮発性成分に飽和していたことが示唆される.一方,黒色スコリアのかんらん石班晶中ガラス包有物の含水量は最大3.8wt%で,共存するCO2量を考慮すると180MPaの飽和圧力に相当する.ガラス包有物の形状は砂時計状のものが多く,かんらん石の急成長に伴ってメルトが捕獲されたと考えられ,深部からの上昇中に結晶化がおきたと考えられる. これらは,1707年宝永噴火のマグマ過程を理解する上で極めて重要な観察事実であり,マグマシステムについてのモデル化を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個々の計画については進捗に前後があるものの,全体的にはほぼ予定どおりにすすんでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には初期計画の方針に従ってすすめる.
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Research Products
(10 results)