2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340161
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西原 遊 愛媛大学, 上級研究員センター, 講師 (10397036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川添 貴章 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, グローバルCOE研究員 (40527610)
大内 智博 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, グローバルCOE研究員 (60570504)
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Keywords | 鉱物物理 / マントル遷移層 / 下部マントル / レオロジー / 高圧変形実験 |
Research Abstract |
本研究ではこれまで自分たちの培ってきた高温高圧変形実験と精密応力測定の技術を集結することによって、地球マントルの深さ660km上下の物質のレオロジーを定量的に決定し、この深さでの粘性コントラストの大きさを見積もりその地球史における役割を理解することを目指している。平成22年度には、まずマントル深部に相当する高温高圧下での定量的変形実験の実現に向けて、放射光X線と組み合わせた技術開発に取り組んだ。その結果、15GPa,1700Kというマントル遷移層に匹敵する高温高圧条件下での応力ひずみ曲線の測定にD-DIA装置用いた研究としては世界で初めて成功した。また、高温高圧下での変形微細構造を理解するために重要なせん断変形実験の技術開発を進め、最高で18GPa,1900Kでのせん断変形実験を実現した。この技術に基づき、マントル遷移層の主要構成鉱物ウォズリアイトのせん断変形に伴う結晶格子選択配向を明らかにし、マントルのこの深さにおける物質流動のパターンを解釈するための物質科学的知見を得ることに世界で初めて成功した。これによると浅部上部マントルと同様にマントル遷移層上部では、垂直流よりも水平流が卓越しているらしいことが分かった。さらに、上部マントル構成鉱物のカンラン石について、歪速度、圧力、温度、粒径、含水量の異なる条件で変形強度測定実験を系統的に実施し、この鉱物のマントル深部での流動則を制約するためのデータを着実に蓄積している。
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