2012 Fiscal Year Annual Research Report
同位体希釈中性子放射化分析による珪長質岩中の白金族元素の高確度定量と岩体形成機構
Project/Area Number |
22340165
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 剛 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 名誉教授 (00236605)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 中性子放射化分析 / 白金族元素 / 地球化学 / 珪長質原石 / 同位体希釈分析 |
Research Abstract |
その存在度の希薄性と偏在性の故に、定量がきわめて困難であった珪長質岩中の白金族元素、イリジウム,オスミウム,ルテニウムとレニウムの分布を高確度で定量することを目的とする。手法は、申請者らのこれまでの同位体希釈質量分析と中性子放射化分析の二つの経験の結合により新たに開発された「安定同位体希釈中性子放射化分析法」を用いる。とくに、珪長質岩石は、その白金族元素存在度が低いので、大量の岩石試料を粉砕処理することを、研究の第一歩とした。ボールミル20個を連結した岩石連続粉砕装置を開発、粉砕実験を進め、高速度の大量粉砕に良好な結果を得た。更に、粉砕に伴うケイ酸塩と二酸化炭素のメカノケミカル反応を追求した。 珪長質岩石の化学組成分布の基本となっている愛知県東部~岐阜県南部の地球化学図における元素存在度相互の関係を解析した。本年度(24年度)は、親鉄元素/親石元素/親銅元素を含み、白金族元素分布要因を考察する基礎となる、地球化学図を図面(アトラス)として公表する為のデータ整理をすすめ、その概論を地球化学辞典の項目として公表した。 分析の基本となる中性子放射化分析は、2011年3月の東北大震災以来,東海村の研究用原子炉が休止されている。運転に機構的な問題は早期にクリヤーされ、早い時期に運転が再開されるものと予想し、本研究を継続しているが、監督機関の審査が得られず、待ちの状態にある。過去に照射分析をしたデータをもって放射化分析論文への公表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東北大震災により、東海村研究用原子炉が停止されたままにある。地震や津波による施設への被害は少なく、早期の運転再開を期待して、研究を継続しているが、平成25年度中に運転再開が無いと、当初に目的とした研究の完遂は困難とおもわれる。当初研究目標を多少変更して.成果を挙げたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の原子炉運転再開を念じて、研究を継続するが、万が一年度早期の再開が無い場合の研究方向として、以下の緊急策を進める。 1)分析を予定していた珪長質岩石岩体周辺の地球化学図による元素存在度評価をすすめ、白金族元素データが得ら れた時にその解析がスムースに進むような下ごしらえを行う。 2)本研究の過程で、連続岩石粉砕装置を開発したが、その装置は、ケイ酸塩岩石の粉砕に伴う、二酸化炭素とのメカノケミカル反応の研究に役立つ事が判明した。岩石の粉砕をすすめながら、岩石と二酸化炭素の反応実験を進める。
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[Journal Article] A trial proficiency test of eight NAA laboratories in Asia using stream sediments.2012
Author(s)
Bennett, J. W., Ebihara, M., Tanaka, T., Armishaw, P., Iavetz, R., Cao, V. D., Hossain, S. M., Huang, D., Stisna, Salim, N. A. Abd.
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Journal Title
J. Radioanal. Nucl. Chem.
Volume: 291
Pages: 535-541
Peer Reviewed
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