2011 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙物質中の生体関連有機物の光学異性体比の超高感度分析法の開発
Project/Area Number |
22340166
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
三田 肇 福岡工業大学, 工学部, 教授 (00282301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 裕一 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (80326298)
浜瀬 健司 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (10284522)
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Keywords | 隕石 / アミノ酸 / 光学異性体 / マイクロマシン |
Research Abstract |
今年度の目標は、昨年度、設計・製作した装置の最適化をはかり、サブmg以下の炭素質阻石の分析を実際に試みることであった。 回転式チョッパーを備えたレーザー励起型の蛍光検出器で、回転式チョッパーで明状態と暗状態の信号値の差分をとることで、蛍光物質が流れていない時のノイズに相当する信号値を大幅に低減することに成功した。さらに、回転式チョッパーの回転数を、500Hz以上に上げることで数十倍の感度上昇を達成した。 また、既にバルクでアミノ酸分析が報告されている南極隕石Y-791191(CM2)を粉末化し、その約50μmの粒子を1粒(大凡100ng)をとり、アミノ酸分析を実施したところ、グリシン、アラニン、α-アミノイソ酪酸、イソバリンを検出し、アラニンがほぼラセミ体であることを確認することに成功した。ただ、イソバリンについては夾雑ピークとの分離に課題が生じ、ラセミ体であることの確認が十分には行えなかった。試薬では問題にならなかったことから、試薬などの純度の問題ではなく、カラムの分離能に問題があることがわかった。さらに、はやぶさの回収した粒子の分析も実施したが、はやぶさ粒子からは有意なアミノ酸は検出されなかった。 一方、マイクロマシンシステムを応用したハンドリングシステムでは、放射光ドライエッチングと熱圧着によりPTFE製流路を作製し、スライド式バルブの送液試験では125kPaの荷重で液漏れなく送液可能なことを確認することができ、PTFEの薄層フィルターもほぼ設計性能が得られることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
約50μmの炭素質隕石粒子を1粒(大凡100ng)使ったアミノ酸分析を行い、アラニンを光学分割でき、ほぼラセミ体であることを確認することができた。このことは、目標値のサブmgの阻石試料のアミノ酸分析を達成するという目標をクリアーしたことになる。一方で、試薬では問題にならなかった夾雑ピークが限石試料では多数見られたので、分離に関する改善が必要であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画に従い、炭素質阻石などの分析例を増やし、本分析装置の活用事例を増やしていくと共に、アミノ酸の分離能の向上に努める。
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