2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340170
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 浩一 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50235248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 治朗 防衛大学校, 応用化学群, 准教授 (20531768)
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Keywords | 予混合バーナー火炎 / マイクロ波 / 電子加熱 / 誘電体バリア放電 / 電子エネルギー / ラジカル密度 / 非平衡燃焼化学反応 / プラズマ支援燃焼 |
Research Abstract |
本計画の初年度にあたる平成22年度には,予混合バーナー火炎へのマイクロ波照射による燃焼状態変化(燃焼速度増加)のメカニズムを微視的視点から定量的に解明することを目的に,以下の研究を実施した。 (1)予混合バーナー火炎にマイクロ波を照射すると,通常火炎では観測されない窒素分子の第二正帯の発光が明瞭に観測されることを見出した。これにより,マイクロ波照射により火炎中の電子エネルギーが増加していることが実験的に確認された。 (2)予混合バーナー火炎に照射するマイクロ波をパルス化し,マイクロ波印加をON/OFFした直後における窒素分子,OHラジカル,および,CHラジカルの発光強度の時間変化を調べた。これにより,マイクロ波照射による電子加熱の時定数は0.01ms未満と見積もられた。一方,マイクロ波照射によるラジカル密度の変化の時定数は0.35msより長く,電子加熱による燃焼化学反応状態の変化は比較的長時間持続するとみられる結果が得られた。 (3)マイクロ波を照射した火炎中の電子のエネルギー分布関数をモンテカルロシミュレーションにより推定した。マイクロ波電場が300V/cmのとき,15eVを超える高エネルギー電子が多量に生成され,これら高エネルギー電子と中性粒子の衝突によりラジカルが生成されることが確かめられた。 (4)OHラジカル密度計測のための半導体レーザー吸収分光システムの構築し,キャビティリングダウン吸収分光法と周波数変調吸収分光法による高感度化を行った。周波数変調吸収分光法によりOHラジカルによるとみられる吸収信号を得たが,それからOHラジカル密度を求めることは今後の課題に残された。 以上の研究により,予混合バーナー火炎へのマイクロ波照射により電子加熱が生じ,高エネルギー電子と中性粒子の衝突が寄与する非平衡燃焼化学反応状態が発現することがわかった。
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