2011 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ励起軟X線レーザー照射による原子・クラスターの非線形X線吸収過程
Project/Area Number |
22340174
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
難波 愼一 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (00343294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 登 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (50360409)
岸本 牧 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 副主任研究員 (40360432)
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Keywords | X線レーザー / 非線形光学 / 原子分子過程 / クラスター |
Research Abstract |
本研究の目的は、高強度軟X線レーザー(波長:13.9mm,パルス幅:~7ps,強度:10^<13>W/cm^2以上)と物質との相互作用により初めて実現可能となるX線非線形光学現象を世界に先駆けて観測することにある。特に着目するのは、これまで高輝度X線源の制約により未開領域であった非線形X線吸収に伴う原子の内殻2ホール形成、及び、内殻電離による強結合プラズマ中での多体衝突再結合と呼ばれる新しい素過程である。 本年度の成果は2つある.まずは,X線レーザー・クラスター相互作用により,内殻電離誘起の強結合状態のプラズマが発生することを世界で初めて実験的に明らかにした点である(Phys.Rev.A誌にて発表).このような特異な環境は今後,XFELでの高強度硬X線レーザーとの相互作用を研究する上でも重要と考えられる. もう一つの成果は,磁気ボトル型電子分光器を数値計算に基づき設計,製作し,その特性を評価した結果,自作ではあるが極めて良好なエネルギー分解能を持つ分光器を開発することができたことである.この分光器を用いることにより,発生する電子をほぼ捕獲することができるため,従来よりも格段に高いS/N比での電子計測が可能になる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,内殻電離誘起である強結合クラスタープラズマが発生することを明確に示すデータが世界で初めて得られたため,研究は順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度開発を終了した磁気ボトル型電子分光器を用いることにより,次年度はさらに詳細なデータを高いS/N比で得られるはずである、 したがって,X線域での非線形光学現象である内殻2ホールとこれまでにない原子過程である多体衝突再結合が発生しているのかを明らかにする.
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Research Products
(12 results)