2013 Fiscal Year Annual Research Report
多次元分光スペクトルを用いた量子コヒーレンスの検出・制御の理論的研究
Project/Area Number |
22350006
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷村 吉隆 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20270465)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 散逸系の量子階層方程式 / 多次元分光 / 励起子 / 量子情報 / 共鳴トンネルダイオード / 量子ラチェット |
Research Abstract |
本研究で用いる階層型運動方程式は有色ノイズを非接道的に厳密に解くことができるパワフルな手法である。近年は香港のYanグループやレーゲンベルグ大Kramerグループ等により、光合成アンテ系等、比較的大きな系の多次元分光スペクトルを計算できる程度に拡張されたが、その計算コストはまだまだ高い。幸い昨年度発売された新しいCPUは、それまでのものに比較し、処理能力が倍程度に向上し、これまでの計算を拡張できるようになった。具体的には2スピン系に2つの温度の異なる熱浴をつけてその熱流に対する研究を行った。この計算は温度の違う熱浴に対する2つの独立した階層を扱うことになり、計算コストは大変高いが並列化等の処理により初めて可能になった。この研究は量子系における熱流の概念を再検討するためのもので、その意義が大きい。また、これまではドルーデ型という構造をもたないスペクトル分布関数にを用いて主に研究をおこなったが、ブラウニアン型という、共鳴周波数をもつスペクトル分布関数に対する階層方程式をもちいることで、電子移動反応についての2次元分光についても研究を行った。マーカスのインバーテッドパラボロと呼ばれる化学反応律の変化を、シーケンシャルからスーパーエクスチェンジと呼ばれる電子移動反応領域について、階層方程式を用いることで統一的に議論し、それがどのように多次元分光スペクトルに反映されるかについて解析を行った。最終年度は、量子ラチェット系や量子二重井戸トンネル系の自励発信について、Wigner空間での階層方程式を用いて数値シミュレーションを行った。これは時間発展するカルデラ・レゲットモデルを、任意のポテンシャルについて厳密に解いた始めての例であり、本課題における大きな成果である。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|