2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22350009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宗像 利明 大阪大学, 理学研究科, 教授 (20150873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 剛司 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90432468)
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Keywords | 角度分解2光子光電子分光 / 顕微2光子光電子分光 / 非占有準位 / 有機薄膜 / 有機半導体 |
Research Abstract |
有機薄膜での電子伝達機構を理解するには非占有準位がバンドを形成するか否かを捉えることが重要である。バンドが形成されれば、光電子の角度分布に反映される。そこで、マイクロスポット2光子光電子分光装置の整備を行い、有機薄膜のサブミクロン領域での非占有準位の分散を測定した。グラファイト(HOPG)上の鉛フタロシアニン1層膜の2光子光電子分光では、最低非占有準位(LUMO)、LUMO+1、LUMO+2および、鏡像準位が観測される。分離の良い分光結果を得るには、均一性の高い場所を選んで測定することが不可欠である。そのため、試料を回転させて光電子角度分布を測ると再現性の乏しい結果しか得られなかった。今回、光を0.6ミクロン径に集光し、角度分解型光電子分光器で光電子角度分布を測定した。その結果、再現性の良い角度分解測定が可能となり、膜上の鏡像準位が自由電子的分散をすることを明らかにした。電子の有効質量は自由電子の2.2倍であった。有機膜上の鏡像準位の有効質量は1に近いことが多いが、重い結果が得られたのは、鏡像準位がLUMO+3と混成しているためである。また、予備的であるが、LUMO+2が負の分散を示す傾向がみられた。さらに、HOPG上のナフタレンを対象として、2光子光電子分光による電子状態の測定と走査トンネル顕微鏡(STM)による分子配列の測定を対応させて、分子配列の変化による電子状態の変化を明らかにした。また、STMのv-z測定法で局所非占有状態を測定した結果、2光子光電子分光の結果と良い対応が得られた。界面の電子状態の理解を深めるのに有効な結果である。
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Research Products
(14 results)