2012 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的SAC-CIを中核とする磁気的分子物性と励起状態反応系に関する理論研究
Project/Area Number |
22350010
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
波田 雅彦 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (20228480)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 相対論補正 / 励起状態 / 電子相関 / 芳香族性 / 冷却分子 / Plumbole |
Research Abstract |
本研究プロジェクトの主目的は、重原子を含む化合物において、電子励起状態が関与する化学現象を定量的に解析するための理論的方法として高次相対論を含めたSAC-CI法の開発を進め、例えば、光化学反応の解析、スピン-軌道(SO)相互作用や交換交差など考慮した定量的なエネルギー曲面の記述、など実施することであった。SO-CASSCF法では化学的精度の達成は困難であるため、本研究では、Generalized UHFを参照としたCCSD法からSAC-CI理論と同等の方法GUHF-CCSD-CIによって励起状態を計算する理論を提案し、その計算プログラムを作成した。幾つかの原子の励起エネルギーを計算することでこの理論・方法の精度を検討した。原子の一重項、三重項の最低励起エネルギーを、本方法と、RHFを参照するSAC-CI法と、CASPT2法で計算した。他の計算方法と比較して、本方法GUHF-CCSD-CIが、三重項励起に対する分裂の実験値を格段に良く再現していた。 更に、相対論補正が重要となる幾つかの応用計算を実施した。 (i)冷却分子を用いて新たな量子物性を探査する研究を支援するため、MgLi, CaLi, SrLi, BaLi分子における電子基底状態のPESとPDMをCCSD(T)法で求め、v=0における放射寿命は短いもので22秒と求まった。これは冷却分子実験の時間スケールに対して十分に長く、測定の可能性を示唆した。 (ii)鉛原子を含んだ5員環化合物Plumboleに、THF、Py、NHCが配位した化合物の芳香族性や、C-NMR, Pb-NMRの特徴について研究した。NICSの観点からは対象分子が芳香属性をもつことを示した。通常は重原子に隣接する軽原子は高磁場シフトするのだが、Pbに隣接するC13-NMRはPbのSpin-Orbit相互作用の影響を受けて低磁場シフトすることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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