2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ構造体の界面エンジニアリングとキャリアダイナミクスの極微分光
Project/Area Number |
22350012
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
玉井 尚登 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60163664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 一禎 関西学院大学, 理工学部, 教授 (10283631)
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Keywords | 半導体ナノ構造体 / 励起子 / キャリアダイナミクス / 励起エネルギー移動 / 時間分解発光分光 / フェムト秒過渡吸収分光 / 単一微粒子分光 |
Research Abstract |
界面エンジニアリングによって界面制御したII-VI 族化合物半導体のナノ構造体をコロイド合成し,キャリアダイナミクスを時間分解レーザー分光や単一微粒子分光で解明する事により,構造とキャリア間相互作用,キャリア緩和の関係を明らかにすることを目的として研究を行った。 CdSeナノロッド(NRs)に金ナノ微粒子が接合したハイブリッドナノ構造体の単一微粒子分光により,CdSe NRsの発光は単一でも単一指数関数からずれる事,励起子間相互作用によってオージェイオン化したCdSe NRsは寿命が短くなる事,金ナノ微粒子接合系では中性およびイオン化状態から電子移動する事を明らかにした。 サイズ分散の小さなコアシェル型Au/PbSハイブリッドナノ構造体を合成し,FDTD計算とフェムト秒過渡吸収分光で緩和ダイナミクスを解析した。吸収スペクトルの帰属と観測されたコヒーレント音響フォノンから粒子全体のbreathing モードによる振動を明らかにし,電子-フォノンカップリング時定数を求めた。 さらに,シェル厚みの異なったCdTe/CdSコアシェルQDsを新規な水熱合成で合成すると共に,そのキャリアダイナミクスを時間分解発光分光で解析した。シェルの厚みが増加すると,波動関数のpenetrationによって吸収,発光共に著しく長波長シフトし,発光のブロードニングと発光寿命が一桁以上長くなる現象が観測された。 また,一次元的に半導体ナノ構造体を配列させる手法として,DNAをテンプレートとして用いCdTe QDsを吸着配列させる手法を開発すると共に,単一DNA-QDs系の時間分解発光スペクトルおよび発光寿命から,一次元的に配列したCdTe QDs間の励起エネルギー移動速度を解析した。CdTe,CdS半導体における表面電子状態の第一原理計算による解析も試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
界面構造を制御した種々の半導体ナノ構造体,CdTe/CdSコアシェルQDs,コアシェル型Au/PbSハイブリッドナノ構造体などの合成に成功し,その時間分解レーザー分光から新規な興味深い現象を見いだした。 CdSeナノロッド(NRs)ー金ナノ微粒子接合系の単一微粒子分光では,ON状態だけで無くイオン化したOFF状態からも電子道が起こる事を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
CdTe/CdSコアシェルQDsに関して,オージェ再結合などのキャリア間相互作用の解析を推進すること,また界面構造を制御した種々の半導体ナノ構造体や貴金属ナノ微粒子の接合したナノ微粒子系におけるキャリアダイナミクスを解析し,キャリア緩和のメカニズム解明を目指す。
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Research Products
(26 results)