2010 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族元素トリアニオン種を用いた三重結合化合物の合成とその高分子化への展開
Project/Area Number |
22350015
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
斎藤 雅一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80291293)
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Keywords | トリアニオン等価体 / m-テルフェニル型置換基 / トリリチオスタンナン / ジスタンニン / トリリチオシラン / トリテルロシラン |
Research Abstract |
本研究では、概念的に新しい化学種である高周期14族元素トリアニオン等価体を開発し、これを用いてこれまでにほとんど研究例のない高周期14族元素三重結合化合物を系統的に合成し、その特異な構造や物性を明らかにすることを目的とした。 当研究室は既にかさ高いm-テルフェニル型置換基である2,6-ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニル基を有するアリールトリス(ジメチルシリル)スタンナンを合成し、そのトランスメタル化反応によってトリアニオン等価体であるトリリチオスタンナンの発生に成功している。今回、トリリチオスタンナンに2,6-ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニルトリクロロスタンナンを作用させたところ、Powerらが既に報告しているスズ-スズ三重結合化合物(ジスタンニン)の合成に成功した。従って、トリリチオスタンナンが三重結合化合物の合成のための有効な前駆体であることが明らかになった。また、Powerらが既に報告しているジスタンニンの分子構造を初めて明らかにした。次いで、トリリチオスタンナンに対して2,6-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)フェニルトリクロロスタンナンを作用させ、スズ上に異なる置換基を有する初めての非対称ジスタンニンの合成にも成功した。 スズの系での手法を参考に、ケイ素のトリアニオン等価体であるトリリチオシランの合成を目指し、ケイ素上に2,6-ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニル基を有するトリテルロシランを新たに合成し、そのトランスメタル化反応を検討中である。
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Research Products
(5 results)