2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホールを基軸とする新奇π共役分子の構築と機能探索
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22350016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
俣野 善博 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40231592)
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Keywords | ホスホール / チタナサイクル / クロスカップリング / 多量体 / キャリア移動度 / Time-Of-Flight法 / 有機薄膜太陽電池 / バッファ層 |
Research Abstract |
本研究では、ホスホールを基軸とする新奇π共役分子を構築し、その構造-物性相関を明らかにした上で、ホスホール及びπ共役部位それぞれの特性が相乗的に発揮されるような機能性材料の設計指針を提案することを目的としている。本年度は、四つの課題-(i)クロスカップリング反応を利用したα-アリールホスホールのライブラリー化と置換基効果の解明、(ii)α,α'-連結ホスホール多量体の合成とその物性の解明、(iii)ホスホールを含む共役ハイブリッド多量体の合成とその物性の解明、(iv)合成したホスホール誘導体を含む有機薄膜太陽電池の作製とそのデバイス特性の評価-を目標とした。まず、アリールアセチレンを出発物質として数段階で2-プロモベンゾ[b]ホスホールを合成し、金属銅を用いたホモカップリング反応によりα位で連結されたビホスホール(ホスホール二量体)へと変換した。また、アリール錫とのStille反応を行うことでベンゾホスホール=ベンゾヘテロール連結分子を効率よく合成することに成功した。引き続き、両方の系について、リン上の立体化学(二つのホスホール環の二面角)や組み合わせるヘテロールの種類がπ系全体の吸収・発光特性、酸化還元電位に与える影響を定量的に評価した。その結果、たとえば、異種ヘテロールを含むπ系で電荷移動型の励起状態が形成されることが明らかとなった。次いで、可溶性置換基を持つα-ヨードホスホールとα-スタンニルポスホールを用いるクロスカップリング反応を利用して新規ポリホスホールの合成を行い、分子量が1万を越えるポリマーを効率よく合成することに成功した。なお、一部のπ共役ホスホール誘導体をバッファ層として含む有機薄膜太陽電池を作製し、その光電変換効率を評価した。その結果、5価のリン中心を含む誘導体がn型バッファ層として作用することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた課題をほぼ検討することができており、研究全体はおおむね順調に進展している。特に、5価のリン中心を持つ縮環ホスホール誘導体が有機薄膜太陽電池のバッファ層として利用できるという知見を手にしたことで、n型半導体材料探索へ向けた分子設計の方向性を明確に打ち出すことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、特に縮環ホスホール誘導体、ポリホスホール、およびホスホールを含む共重合体に焦点を絞り、その簡便かつ効率的な合成法を確立した上で、構造-物性相関を基礎化学的側面から系統的に解明する。さらに、当初の計画通り、ホスホール誘導体を構成要素とする有機薄膜太陽電池を作製し、そのデバイス特性の評価を通じて、実用化に値する候補化合物群を探索する。
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Research Products
(5 results)