2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22350023
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山高 博 立教大学, 理学部, 教授 (60029907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 祐志 立教大学, 理学部, 教授 (00434209)
古明地 勇人 産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (30357032)
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Keywords | 有機化学反応 / シミュレーション / 量子化学 / 遷移状態 / 溶媒効果 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画にあげた4項目のうち、第1のFMO-MD法の開発拡充については、周期境界条件のプログラムへの取り込みは作業途中であるが、高次の電子相関を含むFMO計算法や4体までの補正を含むFMO4-MP2法の実装、ベンチマーク計算を実施したほか、応用計算としてランタニドイオン種の水中シミュレーションに成功した。第2の有機反応のシュミット反応における経路分岐現象の実験的検討に関しては、7種類の置換3-phenyl-2-butanoneを合成し、水性トリフルオロ酢酸中でのこれらのケトンとシリルアジドとの反応の速度測定と生成物分析を行った。その結果、シュミット反応の律速段階の決定、ならびに律速段階での経路分岐現象の可能性が浮かび上がった。この反応については、継続して実験を行い、分子動力学シミュレーションの結果とつきあわせて,経路分岐検証を実験的に実証していく予定である。第3のα-ハロケトンの付加-置換反応の経路分岐現象については、DFTレベルでのシミュレーション計算を行い、単一の遷移状態を経た後に経路分岐によって付加生成物と置換生成物を与えることを見いだした。この成果は国際学会で発表し、J.Org.Chem.誌に公表した。今後、この現象の実験的による確認を予定している。第4の水溶液中での有機反応の微視的挙動の研究に関しては、既に実施したアミンのカルボニル化合物への付加反応に加えて、カルボニル化合物への水和反応(水の付加反応)ついて検討した。その結果、水和反応においても、アミノ化反応と同様に、反応の進行に伴う溶媒分子の配座変化の様子が観測された。しかし、アミノ化反応が双性イオン中間体を経る段階的機構で進行するのに対し、水和反応は協奏的機構で進行することがわかった。この機構の違いはアンモニアと水の求核性の違いに由来するものと結論された。現在この結果の論文公表準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
FMO-MD法の発展的展開に関しては、周期境界条件を取り込んだ計算法は開発途上であるが、平衡して行ってきた電子相関の取り込みや3体、4体項の実装に関しては予定を上回る成果を上げた。実験の分野では、シュミット反応やa-ハロケトンの置換・付加反応で,経路分岐現象を見いだすことができ、水溶液中の反応についても新規な知見を売ることができたことは、予想を上回る成果だと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しているため、当初の予定通りで進めたい。
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Research Products
(32 results)