2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22350023
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山高 博 立教大学, 理学部, 教授 (60029907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 祐志 立教大学, 理学部, 教授 (00434209)
古明地 勇人 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (30357032)
佐藤 真 立教大学, 理学部, ポストドクトラルフェロー (10634347)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 有機化学反応 / 量子化学 / シミュレーション / 遷移状態 / 溶媒効果 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画にあげた4項目のうち、第1のFMO-MD法の開発拡充については、ABINIT-MP(X)における4体フラグメント分子軌道(FMO4)計算を、2次摂動相関補正のエネルギー微分にまで拡張し、水分子のクラスターで系統的に検証した。分子動力学(FMO-MD)シミュレーションにおいてFMO4はFMO2に比して10倍ほどのコストがかかるが、さらに高速化する予定である。周期境界条件のプログラムへの取り込みは引き続き検討中である。第2の有機反応のシュミット反応における経路分岐現象の実験的検討に関しては、昨年度に引き続き置換3-phenyl-2-butanone類とシリルアジドの水性トリフルオロ酢酸中における反応の速度測定と生成物分析を行った。その結果、シュミット反応の律速段階が窒素分子の脱離段階であること、またこの律速段階での経路分岐現象の可能性があることを明確にすることができた。この結果は既に報告した分子動力学シミュレーションの結果と一致しており,経路分岐現象を実験的に実証できた。この成果は国際学会で発表し、J. Org. Chem.誌に公表した。第3のシミュレーション計算では、経路分岐現象の一般性と適応性を検証するため、ビニルジアゾニウムイオンのイオン化反応についてシミュレーションを行い、いくつかの基質で経路分岐の兆候を得た。これについては、最終年度でさらに検討する。第4の水溶液中での有機反応の微視的挙動の研究に関してはカルボニル化合物への水和反応ついて詳細に検討した。その結果、水和反応においても、アミノ化反応と同様に反応の進行に伴う溶媒分子の配座変化の様子が観測された。その上で、アミノ化反応が双性イオン中間体を経る段階的機構で進行するのに対し、水和反応は協奏的機構で進行することを明らかにした。この結果はChem. Eur. J.誌に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FMO-MD法の発展的展開に関しては、周期境界条件を取り込んだ計算法は開発途上であるが、並行して行ってきた電子相関の取り込みや4体項の実装に関しては十分な成果を上げた。実験の分野では、シュミット反応で経路分岐現象を見いだすことができ、水溶液中の反応についても基本有機反応であるカルボニル付加反応の溶媒関与機構に関して新規な知見を得ることができたことは、大きな成果だと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しているため、当初の予定通りで進めたい。最終年度では、これまでに得られた成果を総合的に評価し、国際学会や腫瘍論文誌で公表していきたい。
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Research Products
(27 results)