2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオンの動的特性を活かした機能性自己集合系の構築
Project/Area Number |
22350025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平岡 秀一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10322538)
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Keywords | 自己集合 / ナノカプセル / 配位子交換 / Zn(II)イオン |
Research Abstract |
本年度は,金属錯体型ナノカプセルの内部修飾化における研究成果を得た.ディスク状三座配位子1とZn(TfO)_2イオンから形成される六核金属錯体型カプセルZn_61_8(TfO)_<12>に対してトリフェニルホスフィンモノスルホン酸アニオン(TPPMS^-)を加えると,カプセル錯体内部にある2つのトリフラーと配位子が選択的にTPPMS^-と交換する減少を見出した.また,2つのTPPMSを含むZn(II)カプセル錯体の構造にはD_<4h>対称とC_<2v>対称の2種類の生成の可能性があるが,NMR測定の結果,C_<2v>対称の錯体のみが選択的に生成していることが明らかとなった.溶液中のけるZn(II)カプセル錯体の構造同定は^1H,^<19>F,^<31>PNMR測定および,核種2次元NMR測定により行った. さらに,2つのTPPMSを持つ錯体内部には2種類の化学環境の異なるTfOアニオンが存在するが,この内1種類についてのみさらなる交換反応が見られた.このように金属配位子となり得るホスフィンを位置選択的にカプセル内部に導入し,さらに複数種の分子を立体選択的に導入することに成功した.今後,ホスフィン部を利用した錯体形成や小分子の活性を行える機能性ナノ空間としての利用が期待される.
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