2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子素子開発に向けた拡張π共役系多核金属錯体に関する研究
Project/Area Number |
22350026
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
穐田 宗隆 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (50167839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 隆司 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (30451991)
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Keywords | 分子素子 / 有機金属化学 / π共役系 |
Research Abstract |
上記の目的に対して初年度は、ポルフィリン骨格をの両末端にアセチレンリンカーを介して酸化還元活性な鉄あるいはルテニウムフラグメントを結合させた錯体を合成し、電気化学的および分光化学的にその分子ワイヤー評価を行った。その結果、エチレンやベンゼンなどの単純な有機骨格を中心に含む錯体と比べて100倍以上ワイヤー性能が向上し、ポルフィリンがすぐれた多次元リンカーとなることを明らかにした。 またポルフィリン自身にも、特異な配位特性、光物性、酸化還元特性があるため、これを利用してスイッチング機能開発を行った結果、ピリジンを可逆的に配位-解離させることによって分子ワイヤー性能を増減できることが明らかとなり、ワイヤー性能に加えてスイッチング機能を発現できることを明らかにした。 ポルフィリンは大きなπ共役平面を含むため、これと他のπ共役分子との相互作用についても研究を展開した結果、π一π相互作用を通じてスタッキングすることを電気化学的ならびに分光学的測定によって明らかにし、複数の機能ユニットが必ずしも結合によって結びつけられている必要はなく、超分子相互作用によっても集積化できることがわかったので、この手法を用いて高次元構造体を構築できる目途がついた この他長鎖分子ワイヤーの新規合成法として、配位子の酸化カップリングを経る方法を開発した。従来は架橋部分をまず合成して、続いてこれをメタル化する方法がとられてきたが、この方法では架橋部分の合成が今案であったが、酸化カップリング法では、酸化によって長鎖構造が一段階で構築できる長所がある。
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