2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子素子開発に向けた拡張π共役系多核金属錯体に関する研究
Project/Area Number |
22350026
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
穐田 宗隆 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (50167839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 隆司 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (30451991)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 分子ワイヤー / アセチレン / ポルフィリン / 有機金属化合物 / π共役 |
Research Abstract |
本研究は、複数の金属錯体とπ共役分子の多次元的な連結により、前例のない『拡張π共役-金属錯体』を構築すると共に、その高次集積化を達成することで、電子伝達能を基盤とする独創的な機能性分子素子の開発を目指すものである。具体的には、拡張π共役金属錯体の多次元化・集積化によって機能性分子素子を創出する。この目的に対して平成24年度は、二つの観点から研究を進めた。 1. 前年度合成に成功した金属フラグメントと共役架橋配位子が交互に配列した長鎖分子ワイヤーの金属間相互作用については,前年度予備的な電気化学的な評価を行ったが、本年度は電極間に分子をはさんで直接電導度を測定するブレイクジャンクション法による評価の準備と予備測定を行った。まず、電極と相互作用しやすいチオフェン環を末端に有する分子ワイヤーを合成して、スペクトル解析を予備X線結晶構造解析により構造決定を行った後、本学木口准教授の指導・共同研究により、単分子測定を行った結果、確かに伝導性を示すことが確認された。次年度は再現性やワイヤー長への依存性などを調査して、分子構造と分子レベルでの物性の相関を解明する計画である。 2. ポルフィリン錯体については、ポルフィリン骨格の両末端にアセチレンリンカーを介して酸化還元活性な鉄あるいはルテニウムフラグメントを結合させた錯体の合成研究を継続した。その結果、マンガン錯体では、ピリジンの添加の有無によってワイヤー性能のON/OFFスイッチングが可能となった、これは、ピリジンの配位によってマンガン中心のスピン状態が変化するためで、このような物性変化に伴ってスイッチング機能を発現させた初めての結果である。また、ポルフィリンの四箇所のメソ位をすべて金属化させた四核錯体を合成した。二核錯体と同様の方法では合成できなかったが、金中間体を経由することによって初めて成功した。次年度は,その物性評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分子ワイヤーの合成と評価については、当初は予備的・間接的な評価を行う予定であったが、計画化合物を早期にすべて合成することに成功したので、より直接的な評価ができる単分子測定まで展開することができた。また、ポルフィリン錯体については、初めて四置換型錯体の合成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
9.,11.欄にも書いたとおり、計画は順調に進展しているので、その延長方向に向かって研究をさらに推し進めるとともに、次年度は本研究計画の最終年度にあたるので、研究の総括をはかると共に、次の段階に向けて単分子測定も含めて新たな展開をはかる。
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