2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルカン及びアレーン酸化能を持つ二核金属錯体の創製
Project/Area Number |
22350027
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 正樹 金沢大学, 物質化学系, 教授 (20091390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古館 英樹 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (40332663)
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Keywords | 生物無機化学 / 合成化学 / 酸素活性種 / 酸化反応 / 機能モデル |
Research Abstract |
本研究では,鉄あるいは銅酵素であるMethane monooxygenase (MMO : nCu, 2Fe)やToluene monooxygenase (TMO : 2Fe)などの機能モデル錯体の創製を目的としている。すなわち,反応性に乏しいメタンなどのalkane類やトルエンなどのarene類を金属錯体により酸素分子を活性化して水酸化することを目的としている。 本年度は特に銅および鉄ペルオキソ錯体による外部基質の酸化反応性と反応機構の解明を行った。例えば,二核化配位子N^1,N^1,N^4,N^4-tetrakis{(6-methylpyridin-2-yl)methy1}butane-1,4-diamine(L)を含む(μ-η^2:η^2-peroxo)二核銅(II)錯体([Cu_2(O_2)L]^<2+>:錯体1)によりC-H結合解離エネルギー(BDE)が93kcal mol^<-1>)アダマンタンの三級炭素C-H結合の水酸化反応に成功した。また,BDEが78-92kcal mol^<-1>の様々な外部基質の酸化反応の速度論的研究により,酸化反応速度の対数とBDEとの間に良好な直線関係が見られることを見出した。さらに重水素化基質では速度論的同位体効果が観測されることから,これら酸化反応の律速段階は水素引抜き反応であることが明らかとなった。また,本錯体はC-H結合の活性化に加えスチレンのエポキシ化反応をも行うことが明らかとなり,ラジカル的反応性と同時に,親電子的な酸化反応性をも持つことが明らかとなった。さらに,二核鉄(III)ペルオキソ錯体でも,様々なBDEを持つ外部基質の酸化反応についても成功しつつあり,23年度は,詳細な速度論的研究により反応機能の解明を目指す予定である。
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Research Products
(11 results)