2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルカン及びアレーン酸化能を持つ二核金属錯体の創製
Project/Area Number |
22350027
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 正樹 金沢大学, 物質化学系, 教授 (20091390)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古舘 英樹 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (40332663)
|
Keywords | 生物無機化学 / 合成化学 / 酸素活性種 / 酸化反応 / 機能モデル |
Research Abstract |
本研究では,鉄あるいは銅酵素であるMethane monooxygenase(MMO: nCu, 2Fe)やToluene monooxygenase(TMO: 2Fe)などの機能モデル錯体の創製を目的としている。すなわち,反応性に乏しいメタンなどのalkane類やトルエンなどのarene類を二核鉄,銅,ニッケルおよびコバルト錯体により酸素分子を活性化して水酸化することを目的としている。 前年度に継続して銅および鉄ペルオキソ錯体による外部基質の酸化反応性と反応機構の解明を行った。例えば,アルコキソ架橋基を持つ二核化配位子(L1)を持つ二核核鉄(II)錯体([Fe_2(L1)(RCO_2)]^2)+は,可逆的酸素化と同時に,生成したペルオキソ錯体によりC-H結合解離エネルギー(BDE)が82-89kcal mol^<-1>を持つ外部基質の水酸化反応に成功した。また,これら外部基質の酸化反応の速度論的研究により,酸化反応速度の対数とBDEとの間に良好な直線関係が見られることを見出した。さらに重水素化基質では速度論的同位体効果が観測されることから,これら酸化反応の律速段階は水素引抜き反応であることが明らかとなった。さらに,新規二核化配位子により(μ-η^2e:η^2- peroxo)二核銅(II)錯体の合成に成功し,酸化反応性の検討に着手した。また,銅錯体で用いた二核化配位子を持つbis(μ-OH)M(II)_2(M=Co and Ni)と過酸化水素との反応により,高原子価オキソ錯体([M_2(O)_z(L)]^<2+>)の合成に成功し,コバルト錯体では架橋キシリル基の水酸化,さらにニッケル錯体ではジヒドロアントラセン等の外部基質の酸化反応に成功しており,24年度は,詳細な速度論的研究により酸化反応機能の解明を目指す予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前ページの研究実績の概要で述べたように,様々な酸素活性種を含む新規二核金属錯体の合成と酸化反応性の検討に成功しているが,酸化反応性や速度論的研究では-70℃での実験など困難な実験が多く,完成度が不満足であり論文の作成が遅れているため,やや遅れていると思っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
上の現在までの達成度で述べたように,酸化反応性や速度論的研究では-70℃での実験など困難な実験が多く,成果の完成度に不満がある。次年度は,これら困難な実験を工夫して改善し,質の高い成果を挙げるよう努めたい。
|
Research Products
(13 results)