2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22350029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 一良 京都大学, 理学研究科, 教授 (70191640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道岡 千城 京都大学, 理学研究科, 助教 (70378595)
太田 寛人 京都大学, 理学研究科, 教務補佐 (60546985)
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Keywords | 無機固体化学 / 遍歴電子系化合物 / 強相関電子系化合物 / 二次元磁性体 / 二次元超伝導体 |
Research Abstract |
Fe(Te,Se)の二次元遍歴電子系の構築を目的として研究を行った結果、次のことが明らかになった。余剰のFeの組成を小さく保ったままTeとSeの組成比を制御し電子状態の制御に成功した。また余剰のFeが有する局在的な磁気モーメントの影響を差し引くことにより本質的な磁化を見積もることに成功し、TeをSeに置換していくとFeTeで見られた反強磁性転移は低温に移行し、消失とともに超伝導を示すようになった。その結果反強磁性量子臨界点に近いと思われる試料を用いてNMR測定を行ったところ、低温で反強磁性的なスピン揺らぎが発達し、超伝導の発現に密接に関連していることが明らかになった。 また、鉄系酸化物の研究に関連して、鉄をコバルトに変えた化合物において興味深い結果が得られた。LaCoAsOではコバルトが正方格子を形成し、電気伝導性を示す一方で弱い強磁性を示す。LaをSmに変えたSmCoAsOではコバルトの他にサマリウムに磁気モーメントが存在する。低温ではSmの局在磁気モーメントとCoの強磁性モーメントがRKKY相互作用により反強磁性的に相互作用しあい、強磁性-反強磁性転移を示すことが分かった。この相転移は磁場の増加とともに低温側に移行し、4.2Kでは約30Tの強磁場下で相転移の存在が確認できた。このようにして作成した磁気相図は他の強磁性-反強磁性転移を示すCoMnSiやFeRhなどの物質と非常ににており、強磁性-反強磁性転移の機構の類似性が強く示唆させる結果となった
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Research Products
(37 results)