2011 Fiscal Year Annual Research Report
高度に官能基化されたねじれ構造を持つ天然生理活性物質の合成と開発
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22350045
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細川 誠二郎 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (10307712)
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Keywords | 多環式骨格 / ねじれ構造 / 天然物合成 / 生理活性物質 / 自己触媒 |
Research Abstract |
本年度はこれまで合成研究を行ってきた以下の化合物に対し、それぞれ下記の成果を得た。 ヒバリマイシンB:ヒバリマイシン類に共通なコア構造(アグリコン)であり、13個の不斉中心と軸不斉を併せ持つ8環式化合物であるヒバリマイシノンの初の全合成に成功した。チオラクトンがテトラサイクリン骨格構築に有効であることを示し、軸不斉を持つチオラクトン二量体から一挙に8環式骨格を構築し、一か所の酸化段階を両側の環にずらす戦略によって、3つの環の酸化段階が異なる擬似二量体構造を合成した。 XR-774:ラセミ体の全合成を達成した。本合成経路にいては立体異性体の混合物を取り扱う段階で、いずれの立体異性体も合成に使えるものであることとそれらの反応性の違いを明確にし、現在各工程の最適化を行っている。 テトラペタロンA;5-6-7-5員環の連なる4環式骨格を持つ化合物のうち、5-6員環部合成法を効率化するとともに、本化合物の特徴であるキノイド構造の構築法に成功した。また、5-6員環部構築の直前にもう一つのセグメントである5員環とカップリングできることを見いだした。 キサントファルビン:5環式構造のうちで最も困難であった3環式構造の構築に成功した。この構築の際に、特異な付加反応を見いだしており、現在、反応機構について調査中である。この3環式構造については、グラムスケールでの合成は可能となっている。既にカップリングパートナーとなる2環式化合物のグラムスケール合成にも成功しており、全合成間近となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長年の課題であったヒバリマイシノンの全合成に成功し、絶対構造の確証を得た。XR774はラセミ体の合成に成功しており、光学分割をするだけとなっている。テトラペタロンAについても、キノイド構造の構築に成功しており、キサントファルビンも、最も困難であった3環式構造の構築に成功して全合成間近である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒバリマイシンBはヒバリマイシノンもしくはその前駆体に糖鎖を導入して全合成を行う。ヒバリマイシンBはpH3-5で安定であることがわかっているので、この範囲内で除去できる保護基を使って全合成を行う。XR774は合成終盤のラセミ中間体を光学分割することによって光学活性体の全合成を行う。XR774は塩基には不安定であるが、酸には安定であるので、合成終盤は光学分割も含めて酸性条件の反応を駆使する。テトラペタロンAは収束的な4環式骨格の構築法を検討しており、これが難しい場合は、環を一つずつ構築してゆく。キサントファルビンは、両セグメントを1か所でつないだ後に脱保護するだけであり、脱保護の条件も検討済みであることから、最適化を行いながら全合成を達成する。
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Research Products
(5 results)