2011 Fiscal Year Annual Research Report
デンドリマーの精密構築に基づく分解制御型ナノカプセルの設計
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22350048
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青井 啓悟 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30222467)
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Keywords | デンドリマー / ポリエステル / 超分子化学 / ナノ材料 / 構造制御 / 精密高分子 / 分子カプセル / イオン液体 |
Research Abstract |
本研究は、球状およびシリンダー状のポリエステルデンドリマー(ナノカプセル)内部のナノ空間に機能性低分子化合物などを内包し、新しい分解制御・放出システムを創出することを目的としている。表面ブロックの分解を促進する場合は徐放性が、中心部分の分解が優先すればデンドロンがはずれパルス的放出を起こすことができる。すなわち、機能性低分子化合物を内包したナノカプセルを創出し、加水分解挙動の変化を利用して、分解制御型の機能性新素材の開発を行うことを目的としている。 前年度に得られた知見を踏まえて、デンドリマーの合成を行った。ポリエステルデンドリマーに加えて、ポリアミドアミンデンドリマーに感温特性をもつ2-イソプロピル-2-オキサゾリン重合体を導入した星形デンドリマーも低分子の補足能があり、本研究の目的に合致するのであわせて合成を進めた。 デンドリマーの構造と分解性の相関を解明するための探索を行った。水中や緩衝液中での分解試験などを行った。コアにブタンテトラカルボン酸を用いたポリエステルデンドリマーの構造とゲスト分子補足能、分解性の相関を調べた。 コアに重合性の二重結合を有するポリエステルデンドロンをリビングラジカル重合により重合させ、ナノシリンダーを構築する検討を行った。また、コアにポリカルボン酸であるポリアスパラギン酸を用いて、高分子反応により側鎖デンドロンの導入を行い、ナノシリンダーを合成する試みを行った。側鎖導入は、デンドロンとしてフォーカルポイントがヒドロキシル基型のデンドロンを用いて、EDCなどの縮合剤を使用して行った。このナノシリンダーは、側鎖にポリエステルデンドロンをもつグラフトポリマーと位置づけられる。 前年と同様に色素などのゲスト分子とのカプセル化を行い、放出制御の解析を行った。徐放性が確認できた系も見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って、デンドリマーの合成と、低分子化合物の捕捉、放出挙動の解析を行っている。また、本研究を進めている過程で、ポリオキサゾリンを側鎖にもつデンドリマーも、本研究で目的とする低分子化合物の捕捉と徐放性を有することが考えられるために検討をあわせて進めている。この分子設計に基づく合成も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を踏まえて、デンドリマーの合成を継続的に行う。ポリエステルデンドリマーに加えて、ポリアミドアミンデンドリマーに感温特性をもつ2-イソプロピル-2-オキサゾリン重合体を導入した星形デンドリマーも低分子の補足能があり、本研究の目的に合致するのであわせて継続的に合成を進める。 デンドリマーとナノシリンダーの大量合成をスケールアップして行い、以下のカプセル化などに供する。 脂肪族ポリエステルデンドリマーの合成は、多価カルボン酸型のビルディングブロックとモノヒドロキシル基型のビルディングブロックとから行う。これらを水溶性の縮合剤(EDC)を用いて縮合させ4分岐型化合物を得て、ギ酸を用いたt-ブチル基の除去と縮合を繰り返して、8, 16, 32および64分岐型デンドリマーを得る。このようにして得られたナノカプセルからのゲスト分子の放出挙動の解析を行う。前年で得られた知見を活かし、分解条件をかえて分解挙動の解析を行う。pHや熱などの外部刺激に対する刺激応答性について検討を加え、分解の制御を達成する。
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Research Products
(5 results)