2010 Fiscal Year Annual Research Report
進化する刺激応答性ポリマー:多様な温度応答性/精密分解型リビングポリマーの新設計
Project/Area Number |
22350051
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青島 貞人 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50183728)
|
Keywords | 刺激応答性ポリマー / UCST型相分離 / 温度応答性ポリマー / 精密分解型ポリマー / 含Fビニルエーテルの重合 / リビングカチオン重合 / 交互型リビングポリマー / ケミカルリユース |
Research Abstract |
刺激応答機能を有する自然調和型材料の創製のため、当研究室で見出した「添加塩基存在下でのリビングカチオン重合法」により3種類の新しい刺激応答性ポリマーを精密合成した。 1. 水中UCST型相分離可能なポリマーの合成:リビングカチオン重合及び高分子反応を詳細に検討し、イミダゾール基を有するUCST型相分離可能なブロックコポリマー合成の最適条件を見出した。例えば、水中でLCST型相分離を示すビニルエーテルと本ポリマーの前駆体モノマーとのブロック共重合が行われた。重合温度を工夫して選択的に得られたブロックコポリマーは、低温及び高温において異なるコアを有するミセル(高濃度ではゲル)を形成し、それぞれイオン性化合物ないし疎水性化合物を取り込むこともわかった。 2. 有機溶媒中UCST型相分離可能なポリマーの合成:トルエン中で含Fモノマーのカチオン重合を検討したところ系が不均一になるため、含F溶媒中で均一系リビング重合を行った。また、ポリマーの側鎖中のFの数が少ない時(≦5)ないし多い時(≧13)は有機溶媒に可溶ないし不溶であったが、中間の場合(例えば、9ないし12)、多くの有機溶媒中でUCST型の相分離を示すことが確認された。また、これらのセグメントを有するブロックや星型ポリマーも精密合成された。 3. リサイクル可能な低分子化合物に完全分解する交互型リビングポリマーの合成:ベンズアルデヒドとビニルエーテルを用い、触媒としてGaCl_3、低温、添加塩基存在下で比較的分子量分布の狭い交互ポリマーが得られること、および酸加水分解により定量的にシンナムアルデヒドが生成することがわかった。そのシンナムアルデヒドを用いて共重合すると、さらに分子量分布の狭い交互ポリマーおよび加水分解によるエナールが選択的に得られた。このように、従来無いタイプのケミカルリユースのシステムが可能になった。
|