2011 Fiscal Year Annual Research Report
位置特異的ラジカル重合反応による高性能高分子材料の設計
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22350054
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松本 章一 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00183616)
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Keywords | 高分子合成 / 精密重合制御 / ラジカル共重合 / 高性能高分子 / 機能性高分子 / 位置選択性制御 / ポリスルホン / 光学材料 |
Research Abstract |
本研究では、高機能・高性能ポリマー材料の新規な合成法を開拓するため、ジエンモノマーと非ビニル系化合物のラジカル交互共重合で発現する位置特異的な成長反応に着目し、共重合体の精密構造制御によって、既存材料に比べて優れた熱、機械、光学特性を示す新規ポリマー材料の設計を行っている。平成23年度は、初年度に取り組んだ研究項目のうちのポリジエンスルホンの構造と分解特性、物性評価ならびに光学特性評価について検討を継続して行い、さらに以下の項目についての新たな成果を得た。 まず、極性基をもつジエンモノマーと二酸化硫黄の共重合を行いため、側鎖にカルホン酸エステルなどの官能基を含むジエンモノマーを新規に合成し,重合ならびに生成ポリマーのキャラクタリゼーションを行った。さらに、官能基を含むポリジエンスルホンならびにその水素添加物のフィルム化ならびに表面モルフォロジーや物性の評価を行い、非極性ジエンモノマーと同様にポリジエンスルホンが合成できることを見出した。さらに、環状構造をもつジエンモノマーを用いるポリジエンスルホンの合成と物性評価を行うための、新規な環状モノマーの合成を試みた。硫黄原子を含む環状ジエンモノマーを新規に合成、精製単離し、二酸化硫黄との共重合が可能であることを確認できたものの、ポリマーの詳細なキャラクタゼーションにまでは至らなかった。最終年度である平成24年度も継続して検討予定である。環状不飽和スルホンであるスルホレン誘導体の開環重合を試みたが、スルホニルラジカルの環状不飽和スルホンへの付加がエネルギー的に不利であることがわかった。そこで、新規に反応性基を含む新規なスルホラン誘導体を設計し、開環重合が可能であることを見出した。重合挙動の詳細や生成ポリマーのキャラクタリゼーションを継続して行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた項目はほぼ検討し、一定の成果を得た。環状スルホレンの重合に関しては、残念ながらポリマー化には至らなかったが、当初の計画にはなかった新規な反応性の環状スルホラン化合物を新たに見出し、ポリマーが容易に得られることを見出した。さらに、環状ジエンモノマーの位置特異的なラジカル共重合系を新たに見出したので、最終年度に検討項目に加えることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画から大きく修正はなく、当初計画した項目の6-7割を既に達成できた。研究の過程で、新たな重合系や新規化合物群が見つかり、位置特異的ラジカル重合反応の適用範囲は当初想定したより大きく広がりつつある。ラジカル重合による精密高分子構造制御のための新しい手法として有望であり、新たな研究分野へと展開できる可能性を含んでいるので、最終年度で今後の大きな発展に繋がる成果をあげるようにしたい。そのために特に問題点や支障となる点はなく、本研究課題を計画に沿って推進できるものと判断している。
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Research Products
(17 results)