2011 Fiscal Year Annual Research Report
電子構造を任意に設計できる可溶性半導体の開発と素子機能の基礎研究
Project/Area Number |
22350055
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲辺 保 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20168412)
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Keywords | 可溶性半導体 / ドーピング / ヨウ化スズ / 有機無機複合ペロブスカイト / 半導体素子 |
Research Abstract |
有機溶媒に可溶な半導体である金属-ハロゲン化物系有機・無機複合ペロブスカイトについて、有機カチオンや金属、ハロゲンの選択による電子構造(バンドギャップ)・ドーピング量・電気物性の変化を系統的に調べ、電子構造/物性設計の指針を見いだすことを一つの目的とする。また、溶液プロセス可能な半導体材料として、他の有機化合物も含め、ドーピング手法開発と実際にデバイス構造での性能の調査も目的とする。 Sn-I系立方晶ペロブスカイトでのドーピングによるキャリア濃度の増加は熱電能により確認されていたが、キャリア濃度を見積るためにホール効果の測定を新たに行い、ドーピング量を定量的に明らかにした。また、立方晶の(Pb,Sn)-I合金系も作製し、光学測定から不均質なドメイン形成が起きていることを見出し、エネルギーギャップの小さな物質系の開拓の糸口を掴んだ。層状ペロブスカイト系では(Pb,Sn)-I合金系で溶液プロセスによるFET特性の組成依存性を調べている。また、Sn-Br系やPb-Br系についても結晶作製と電子構造解析に着手し、同時にドーピングの可能性も調べている。FET素子作製に役立つと考えられる接触型ドーピングによる有機半導体結晶表面の高伝導化については、二成分錯形成と電荷注入の両方の機構が働くことを明らかにした。また、組合せによって2つの機構の一方のみを選択することも可能であることも見出された。この手法を応用することで、ダイオード構造を簡便に作製できることから、種々の半導体物質について適用を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・Sn-I系立方晶ペロブスカイトについて、ホール効果の測定による定量的なキャリア濃度の決定に成功 ・Sn-BrおよびPb-Br系について、結晶作製、構造解析に成功 ・接触型ドーピングの機構解明に成功
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Strategy for Future Research Activity |
・Sn-I系について、ホール効果によるキャリア濃度の決定を層状化合物についても行い、ドーピング効率の向上にはどのような条件が必要か調べる。 ・有機無機複合ペロブスカイトを用いた素子作製のための薄膜化について、可溶性の特性を活かしたスピンコート法について、有機カチオンの選択と溶媒系の最適化を調べる。 ・素子作製に有効と考えられる接触型ドーピングの適応範囲を対象物質を広げて調べ、有機無機複合ペロブスカイトにも利用できるか検討する。
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Research Products
(25 results)