2011 Fiscal Year Annual Research Report
サーモトロピック液晶とリオトロピック液晶の統一的理解に向けて
Project/Area Number |
22350056
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
齋藤 一弥 筑波大学, 数理物質系, 教授 (30195979)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 泰久 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80303337)
|
Keywords | サーモトロピック液晶 / リオトロピック液晶 / 擬二成分描像 / CrE相 / 脂質-水系 |
Research Abstract |
脂質-水系:モノオレイン,モノエライジン,モノバクシニンと水の系におけるラメラ相-等方性液体(IL)相転移について精密熱容量測定の結果を詳細に解析して,相転移エントロピーに分子構造に起源を持つ分子内ダイナミクスの差異が現れていることを明らかにし,論文として公表した. サーモトロピック液晶-アルカン系:液晶相としてN相のみを発現しSmA相を発現しない5CBにn-オクタンを混合した系においても層状中間相が誘起されることを見出し,静的性質(相挙動)における擬二成分描像の成立をさらに確認した.動的性質へと研究を展開するために,この系の誘電分散を観測して分子運動の検討を開始した.前年の7CB-n-ヘプタン系の結果を論文としてとりまとめた. CrE相:液晶に最も近い結晶性中間相であるCrE相を示すnTCBのうち,融解過程でSmA相をも経る長鎖化合物においてもCrE相においてすでにアルキル鎖が等方性液体同様,融けた状態にあることをDSCおよび赤外スペクトルを用いて明らかにした.さらに,昨年,見出したアルカン膨潤CrE相の発現も念頭に,CrE相の構造(分子配列)を詳細に検討している. サーモトロピックキュービック液晶相における分子配列:最大エントロピー法(MEM)を用いて棒状分子であるBABH(n)のIa3d対称のキュービック相について系統的な解析を行い,(1)2次元オブジェクトである正三角形をモチーフとした構造記述,(2)それに基づく分子配列,(3)鎖長依存相図におけるリエントラント挙動の構造的起源,を明らかにした.分子構造が棒状でない物質におけるIa3d対称のキュービック相における分子配列についても解明を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
脂質-水系,サートロピック液晶-アルカン系について順調に実験が進捗し,統一的な視点に基づく液晶科学が可能であることを実証しつつある,さらに,こうした知見に立って、(1)サーモトロピックキュービック液晶における分子配列をはじめて明らかにすると共に,(2)層状中間相(CrE相)における分子配列が液晶科学の常識とは異なる可能性があることを実証しつつある.
|
Strategy for Future Research Activity |
擬二成分描像の成立範囲を見極めると共に,二世分系で発現する液晶相が純物質の場合とどれだけ同じかを見極めるべく,動的性質にも視野を広げて研究を継続する.また,比較的発現例の少ないCrE相のような液晶相の構造を擬二成分描像の視点から見直し,物性と整合する構造を確立する,
|