2012 Fiscal Year Annual Research Report
非平面型一重項ビラジカルユニットの集積化による特異な伝導性ナノリボンの創製
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22350058
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 繁和 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00312538)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 一重項ビラジカル / 複素環化学 / 結晶構造 / 有機エレクトロニクス |
Research Abstract |
1)ベンジル型置換基を導入したリン複素環ビラジカル誘導体の結晶化の条件を工夫することによって、ベンジル部位のパイ共役平面のオフセットスタッキングが生じて結晶構造中で分子が一次元鎖状集積構造をとることを明らかにした。これに伴い、酸化還元活性なリン複素環ビラジカルユニットは1ナノメートル程度の距離をもって配列されることがわかった。すなわちこのことは、固体中でビラジカル部位を経由する電荷移動の可能性を示しているものと考えられた。このことを検証する一つの試みとして、簡易な方法でトランジスタ素子を作成して物性評価を行ったところ、p型F半導体特性が現れた。このことから、ビラジカルユニットの集積化をとした新たな有機エレクトロニクス材料としての可能性が示唆される。なお、 2)リン複素環ビラジカルユニットの電子状態を効果的に調節する一つの分子設計指針として、直接パイ共役構造を連結させる手法がある。このことによって、有効に電子摂動をビラジカル部位に与えることが可能になると考えられるためである。本研究では、含窒素6員環複素環構造を利用することによって容易にパイ共役構造を導入し、さらなる分子変換によってバンド(HOMO-LUMO)ギャップを効果的に制御できることを見出した。特に、リン複素環ビラジカル構造に直接1,3,5-トリアジン骨格を導入した場合には、さらに電子求引性および電子供与性置換基を比較的効率良く組み合わせることが可能であり、従来では困難とされていた物性の発現が期待できる。その一方、リン複素環ビラジカル構造に直接カルボニル置換基を導入する手法も、ビラジカルの分子軌道を効果的に調節できることを見出しているが、電子求引性が高くなると、カルボニル部位を転位を経由する環拡大反応が進行しやすくなることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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