2010 Fiscal Year Annual Research Report
超分子合成化学へ向けた非共有結合錯体の新デザインと機能
Project/Area Number |
22350061
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
津田 明彦 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20359657)
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Keywords | 二種活性化超分子反応 / 反応速度論 / 分子認識 / エステル交換反応 / 自己活性化超分子 |
Research Abstract |
タンパク質などの生体関連物質は金属イオンの認識によってその構造や機能を変化させたり、特異な反応を引き起こす。最近、我々は金属イオンの取り込みにより形成する超分子錯体が金属の電子吸引効果により自身の反応性を高め、Diels-Alder反応などの化学反応を大きく加速させることを見出した。我々はこのような分子を自己活性化超分子と呼び、様々な新奇自己活性化超分子のデザインと反応の探索を開始した。 本研究では自己活性化超分子反応のさらなる発展として、オリゴエチレングリコール鎖をエステル結合でカルボニル基と直接連結した新規な反応ホスト分子と、金属アルコキシドによる新たな自己活性化超分子反応の開発を企てた。高速液体クロマトグラフィーやNMRなどを用い、ホストとゲストの相互作用、およびそのエステル交換反応に及ぼす影響を反応速度論的なアプローチによって調査した。アセトニトリル中、オリゴエチレングリコール鎖を持つホスト基質分子は、様々な金属アルコキシドと錯体を形成してエステル交換反応を加速させ、さらに側鎖と金属イオンのサイズがフィットする組合せにおいて大きな加速効果を与えた。中でも、最も長いオリゴエチレングリコール鎖を持つホスト基質はBa(OEt)_2と強い超分子錯体を形成し、金属カチオンの電子吸引効果によるホスト分子の活性化とEtO^-圧の求核性の増大によるゲスト分子の活性化、すなわち二重活性化を生じ、そのエステル交換反応を大きく加速させた(4600倍)。
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