2011 Fiscal Year Annual Research Report
希土類錯体の近赤外発光を利用したイメージング材料の開発
Project/Area Number |
22350065
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
篠田 哲史 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00285280)
|
Keywords | 希土類 / 近赤外発光 / 生体アニオン / アミノ酸 / 多核錯体 / ライブラリー / らせん構造 / タンパク質 |
Research Abstract |
今年度は下記の2点に挙げた基質応答性の希土類錯体を開発した。 1.希土類-遷移金属からなる多核錯体を用いた生体アニオン認識の実現 近赤外発光効率の高い希土類錯体を得るために、様々な遷移金属錯体との組み合わせを検討した結果、白金(II)イオンとの三核錯体がコハク酸ジアニオンに対して、多点認識型の良好なレセプターとなることを見いだした。近赤外発光効率は低いものであったが、錯体のらせんを含む配位幾何構造に基づいた基質選択性の発現や円二色性による高感度検出が可能であることを見いだした。 2.コンビナトリアルライブラリーを活用した発光性アミノ酸レセプターの開発 入手が容易な配位子群と希土類イオン群の組み合わせからなる希土類錯体ライブラリーを用いて、アミノ酸に対して発光応答する錯体レセプターを探索し、数種類の良好な機能を有する錯体を見いだした。これらは可視光から近赤外光を用いた水溶液中のアミノ酸の特異的な検出を可能とする。 以上のように、水を含む高極性溶媒中でも効率的にアニオン基質を認識し、発光や円二色性による高感度検出を可能とする種々の希土類錯体型レセプターの開発に成功した。こうした希土類錯体型レセプターを、タンパク質などの生体高分子へコンジュゲートさせるために、配位子デザインおよび合成に取り組んだ。リンカー部位を導入した配位子や、水中で高い発光効率を示す希土類錯体の合成に成功したが、合成方法の改良やタンパク質への導入に現在取り組んでおり、合成開発は継続中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
希土類錯体とタンパク質とのコンジュゲートについては今年度中の達成を目的としていたが、合成上の問題により、やや遅れが生じている。その他については順調に進展しており、特にアミノ酸やコハク酸に対する優れたセレプター能をもつ希土類錯体の開発に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
錯体ライブラリーを用いたセンシング材料の探索は継続して行う予定である。特に近赤外発光を増強できる基質について重点的に検討する。タンパク質とのコンジュゲートについては、化合物の改良を通じて効率を上げ達成させる予定であるが、自己組織化膜や人工高分子など新たな環境で利用可能な希土類錯体の開発にも展開する。
|
Research Products
(14 results)