2011 Fiscal Year Annual Research Report
窒素酸化物の吸着サイトおよび反応場を精密制御した直接分解触媒の創生
Project/Area Number |
22350068
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
羽田 政明 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (70344140)
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Keywords | 高機能触媒 / 環境技術 / 触媒反応 / 触媒機能解析 / 大気汚染防止・浄化 |
Research Abstract |
酸化イットリウム(Y_2O_3)などの塩基性酸化物にバリウム(Ba)を高分散担持した触媒(Ba-Y_2O_3)がNO直接分解に高い触媒活性を示すことを昨年度までに明らかにした。当該年度は、Ba-Y_2O_3表面での触媒作用を解明するため、in situ FT-IRにより反応中間体である吸着NOx種の動的な挙動を観察した。Ba種の粒子径が大きい触媒では、反応条件においてNO_3^-種の生成が見られ、600℃以上の反応温度においても安定に存在することがわかった。一方、高いNO直接分解活性を示した高分散Ba種を含む触媒表面にはNO_2^-種が生成し、反応温度とともに生成量が減少することがわかった。NO_2^-種がNO直接分解のための中間体として作用していることが推察され、高分散Ba種がNO_2^-種の生成に重要な役割を担っていることが考えられる。高分散Ba種はBaCO_3の分解により生成することを昨年度までに明らかにしているが、BaCO_3の安定性は担体酸化物の塩基性の影響を受けることが考えられる。そこでイオン半径により塩基性が異なる希土類酸化物に着目し、種々の希土類酸化物(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Y)にBaを担持した触媒を調製し、NO直接分解活性と希土類酸化物の塩基性との相関性を検討した。担持Ba触媒のNO直接分解活性は希土類酸化物により大きく異なり、Ba-Dy_2O_3、Ba-Sm_2O_3,Ba-Y_2O_3が高い活性を示した。CO_2-TPDにより希土類酸化物の塩基性を評価したところ、CO_2の脱離が低温で起こる希土類酸化物、つまり塩基性が弱い希土類酸化物が担体として有効であり、希土類酸化物の比較的弱い塩基点とBaの相互作用が高いNO分解活性発現のためには重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
窒素酸化物の吸着サイトと反応場を最適化することにより高活性なNO直接分解触媒の創成を目指した研究を実施している。これまでに、研究計画に基づき、(1)NO直接分解反応が進行する活性点構造(担体酸化物の弱い塩基点とBa種が相互作用したサイト)、(2)吸着NOx種の挙動に関する知見を明らかにしており、研究の進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
NO直接分解反応が進行する活性点構造を有する触媒活性種の高分散化を検討し、高活性なNO直接分解触媒の実現を目指す。さらに触媒活性種の触媒作用の本質を解明するために、同位体ガスを使用したin situ条件での触媒反応解析を行い、反応機構の解明を検討する。研究はおおむね順調に進捗していることから、当初の計画に沿って研究を推進する。
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Research Products
(5 results)