2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハロゲン系有機化合物の高感度分析と曝露評価、生成メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
22350070
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
雨谷 敬史 静岡県立大学, 環境科学研究所, 准教授 (10244534)
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Keywords | 有害化学物質 / 環境分析 / ガスクロマトグラフ / 加熱脱着 / ハロゲン系有機化合物 / 個人曝露 / 負化学イオン化 / タンデム質量分析計 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ハロゲン化多環芳香族炭化水素(ハロゲン化PAH)とハロゲン系残留性有機化合物を同時に高感度に分析しうる手法を開発すること、対象化合物のリスク評価の一環として個人曝露評価を行うこと、対象化合物の生成メカニズムを追求することである。これまでの研究で、対象物質は、負化学イオン化ガスクロマトグラフ/質量検出器(NCI-GC/MS)で高感度に、選択的に測定しうることを明らかにしてきた。しかし、個人曝露評価には、さらに工夫が必要となる。そこで、加熱脱着法を組み合わせた分析法を開発することが本研究の第一の目的である。研究初年度の平成22年度は、購入した加熱脱着装置を用いた分析法の開発を行った。通常の化合物の、加熱脱着装置を用いた分析法においては、濃縮部の出入り口でガスの流路のスプリット(分流)を行い、ピーク形状の劣化を防いでいる。しかし、スプリット比を大きくすると、GCに導入される試料が少なくなることから、感度も低くなる。そこで、まずピーク形状を第一に考えてスプリット比を大きく取り、ハロゲン化多環芳香族炭化水素の標準試料で、本分析法を用いて分析しうることを確認した。さらに分析条件の最適化を行っている。 一方、ハロゲン化多環芳香族炭化水素の標準物質の作成にも手を付けた。本年度はフェナントレンを原料として、塩素化を行い、3-4塩素化体の合成を試みた。10種以上の化合物が生成したことから、現在その同定を急いでいる。 さらに、多環芳香族炭化水素誘導体の一斉分析を目指して、多環芳香族炭化水素、塩素化多環芳香族炭化水素、ニトロ化多環芳香族炭化水素を負化学イオン化-GC/MSあるいはGC/MS/MS法で高感度に分析しうる手法を開発し、実際の大気浮遊粉じん試料への適用を行った。さらに臭素化多環芳香族炭化水素についても進めているところである。
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Research Products
(4 results)