2011 Fiscal Year Annual Research Report
電極基板に固定された生体高分子のダイナミクス変化を指標とする生体分子検出法の開発
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22350072
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
井上 将彦 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 教授 (60211752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 肇 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (10324055)
藤本 和久 九州産業大学, 工学部, 准教授 (40334718)
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Keywords | SNP / 挿入多型 / 欠損多型 / 電気化学検出 / フェロセン / SWV |
Research Abstract |
本申請者らは、申請者オリジナルのDNAプローブを用いて電気化学的SNPs検出法を開発してきた。フェロセンで修飾されたプローブDNA二重鎖のダイナミクスに同調させて、方形波ボルタンメトリー測定におけるパルス電位周波数を巧みに設定することで、どのような塩基配列のSNPsでも明確に識別することが可能になった。本課題では、電極上に固定化したプローブ分子が示すダイナミクスを利用した電気的検出系を、さまざまなターゲットに対して拡張する。これにより、本手法の一般性を樹立することを本課題における第一の目標とする。そのため研究初年度には、挿入・欠損多型を用いて本手法のDNAに対する一般性を検証した。 SNPs検出に用いたオリジナルのDNAプローブを利用して、SNPsとは異なる挿入・欠損多型の検出へと展開し、それが可能である事を立証した。野生型の片側の鎖にフェロセンを連結してDNAプローブを作成した。このDNAプローブは野生型のターゲットDNAと完全マッチ二重鎖を形成する。一方、欠損型のターゲットDNAと二重鎖を形成すると、プローブ鎖側に一塩基のバルジ構造を生じる。同様に挿入型の場合は、ターゲット鎖側に一塩基バルジを形成する。このバルジ構造を有する二重鎖は、野生型との完全マッチ二重鎖にと比較して柔軟であり、そのダイナミクスの差をSNPsのときと同じ原理で電気化学的に検出する事に成功した。同一プローブと同一検出原理に、より多様なDNA多型の検出が可能になったことにより、多型検出の簡便性・汎用性などの側面から非常に大きな進展となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェロセンを酸化還元プローブ部位としたDNAのSNPs検出法が、実際の応用例と合わせてほぼ確立し、新しいペプチドへの展開を図れる段階まで到達したため。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はこれまでに、オリジナルのDNAプローブを用いて電気化学的なSNPsの検出法を開発してきた。平成22、23年度中の研究で、挿入・欠損多型の検出にも成功し、本検出手法の一般性を検証した。今年度においては、本系のペプチドへの展開を目指し、その基礎データーのさらなる蓄積および応用面への展開を図る。フェロセンを主骨格とした非天然アミノ酸(Faa)を合成し、ペプチド鎖中の任意の位置に導入する。ここで、ペプチド鎖の片方の末端をシステインとすることで、金-チオール結合で金電極上にS烈形成(ペプチドアレイ)が可能となる。またもう一方の末端にFaaを導入することで、前述のフェロセン連結DNAプローブと同様な電気化学活性ペプチドプローブへと展開できると考えられる。電荷移動機構の検証や電荷移動速度の定量化を行った後、特定のDNA配列に対する簡便なスクリーニング系を構築し、そのデモンストレーションを行う。最終的にはペプチドアレイによる汎用的な電気化学的DNAやタンパク質の検出法の確立を目指す。
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Research Products
(7 results)