2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22350073
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
王子田 彰夫 九州大学, 薬学研究院, 教授 (10343328)
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Keywords | タンパク質 / 蛍光プローブ / ラベル化 / バイオイメージング / GPCR / ペプチドデザイン / 環境応答性色素 |
Research Abstract |
当該年度では、タグ導入タンパク質の特異的ラベル化法の開発を中心に研究を進めた。今年度は新たな試みとしてラベル化における非特異反応を抑えるため、高い反応性を示すペプチドタグの人工デザインに取り組んだ。本研究では、求核反応にあずかるタグ上のシステイン残基のpKaを低下させ高反応性のチオレートアニオンをペプチド上に発生させることを主なデザイン戦略とした。この目的を達成するためα-ヘリックス型の新たなペプチドタグKKCPYSDAAADAAADAAADをデザインした。本ペプチドの持つシステインチオールの亜鉛錯体相互作用時のpKaは7.13となり、通常のシステイン残基の持つpKa値上(約8.5程度)よりもはるかに低い値となった。さらにpKaの低下に連動して本ペプチドの反応性は高く、これまでに開発したD4タグ系のペプチドタグに比べて6倍以上の高い反応性を示した。今後、この高反応性ペプチドタグを用いた細胞発現タンパク質のラベル化応用について検討を行う予定である。 ヒスタグを用いたタンパク質ラベル化法の開発においては、ニッケル錯体プローブが細胞膜を透過せず細胞内タンパク質のラベル化に適用できない事が解決すべき課題であった。これについては今年度、ペプチド型の細胞導入剤を開発することにより、プローブを細胞に導入でき、細胞内に発現させたヒスタグ導入タンパク質を選択的にラベル化できることを新たに見出した。一方、細胞膜透過性は無いもののヒスタグと相互作用できる新たな亜鉛錯体型プローブを見出し、細胞表層のGPCR受容体の蛍光ラベル化に応用できる新たな研究展開にも取り組んだ。 一方、今年度はタンパク質ラベル化のための新しい蛍光色素の開発に着手した。これまでに複数の新しい水和型蛍光色素の合成法を確立、さらに、これらの色素が周辺環境変化(溶媒極性、水分子の存在-非存在)に依存して大きな蛍光波長のシフトを起こす新たな知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク質ラベル化法の開発において、現在までに予想以上に良好な複数の大きな進展が得られている。また、タンパク質ラベル化のための新しい蛍光色素の開発にも着手し、今後の進展が期待できる初期結果をすでに得ている。一方、タンパク質内有機化学による自発的蛍光修飾法の探索については、これまでに良好な結果を見出せおらず、本項目についての進捗は遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に良好な結果が得られつつあるタンパク質ラベル化法の開発を中心として本研究を推進していく。一方、タンパク質ラベル化のための新しい蛍光色素の開発についても同時並行で検討を進めて行く。一方、タンパク質内有機化学による自発的蛍光修飾法の探索については、申請当初より研究課題として難易度が高く、良好な結果がうまく得られない懸念があったが、現状は、まさにその様な状況に止まっている。新たなアイデアに基づいた、より難易度の低い研究戦略の発案を行いたい。
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