2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスキャプシドの骨格構造を構造基盤とした機能性人工ペプチドナノカプセルの創成
Project/Area Number |
22350075
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松浦 和則 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (60283389)
|
Keywords | β-Annulusペプチド / 自己集合 / ナノカプセル / ウイルスキャプシド / タンパク質 |
Research Abstract |
本研究課題では、天然ウイルスの構築原理に学び、大きさ・形態だけでなく機能的にも天然ウイルスに近い人工ウイルスキャプシドを構築する化学的戦略を確立し、表面に規則的に機能性官能基を提示する方法論や、高分子・ナノ粒子を内包する方法論を確立することを目標としている。本年度は、人工ウイルスキャプシドとタンパク質との複合化のための化学的方法論の確立を検討した。 N末端にCys残基を有するβ-Annulusペプチド(25残基)CINHVGGTGGAIMAPVAVTRQLVGSを合成し、このCys残基のSH基に、マレイミド基を有するニトリロ三酢酸(Maleimide-C3-NTA)をマイケル付加反応により導入したコンジュゲート(2-NTA)を合成した。NTAに一等量のNi^<2+>を配位させ、Ni-NTA-β-Annulusペプチドとした。このペプチドの水中での自己集合により、40-50nmのナノカプセルを形成することが、動的光散乱測定からわかった。このペプチドナノカプセルと、Hisタグ(Hisの6連続配列)を有する緑色蛍光タンパク質(His-tag GFP)との相互作用を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて検討したところ、ほぼ90%のHis-tag GFPがNi-NTA-β-Annulusペプチドナノカプセルと複合化していることが明らかとなった。一方、Ni-NTAを持たないペプチドナノカフ.セルに対しては、His-tag GFPは殆ど相互作用しなかった。よって、本研究では、Ni-NTAとHis-tagの相互作用を介して、人工ウイルスキャプシドにタンパク質を複合化することに成功し、機能性ナノカプセルの構築のための方法論を切り開いたと言える。
|
Research Products
(19 results)