2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスキャプシドの骨格構造を構造基盤とした機能性人工ペプチドナノカプセルの創成
Project/Area Number |
22350075
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松浦 和則 九州大学, 工学研究院, 准教授 (60283389)
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Keywords | ペプチド / 自己集合 / ウイルスキャプシド / ナノカプセル |
Research Abstract |
本研究課題では、天然ウイルスの構築原理に学び、大きさ・形態だけでなく機能的にも天然ウイルスに近い人工ウイルスキャプシドを構築する化学的戦略を確立し、表面に規則的に機能性官能基を提示する方法論や、高分子・ナノ粒子を内包する方法論を確立することを目標としている。本年度は、人工ウイルスキャプシドへの蛍光ラベル化の検討ならびにナノカプセル構造の安定化を検討した。 蛍光色素導入部位として、Cys残基をN末端側に有するβ-Annulusペプチド(25残基)CINHVGGTGGAIMAPVAVTRQLVGSを固相合成し、マレイミド基を有する蛍光色素(BODIPY-maleimide)で修飾することで、蛍光ラベルβ-Annulusペプチドを調製した。このBODIPYラベルβ-Annulusペプチドは、未修飾ペプチドと同様に、水中で30-50nmのナノカプセルを形成することが動的光散乱および走査型電子顕微鏡観察からわかった。興味深いことに、蛍光色素BODIPYの発光強度は、フリーのペプチドの場合よりも集合体を形成した方が高いことがわかった。これを利用して、β-Annulusペプチド集合体におけるペプチド交換過程を追跡することにも成功した。 また、光散乱を利用して臨界会合濃度を見積もることにより、このペプチドナノカプセル構造は、Cys残基により安定化していることが示唆された。さらに、Cys残基をNi-NTA錯体で修飾することにより、臨界会合濃度が未修飾の場合の約1/500の濃度となり、非常に安定化することを見出した。ラマンスペクトル測定により、Ni錯体がペプチド中のHis残基と配位していることが示され、分子間架橋によりナノカプセルが安定化していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに、人工ウイルスキャプシドを構築する化学的戦略を確立し、その表面・内部修飾法、ならびにカプセル安定化の方法論を着実に確立している。
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Strategy for Future Research Activity |
人工ウイルスキャプシドをナノテク・医療分野へと応用するために、人工ウイルスキャプシド内での無機微粒子合成、核酸の内包なども検討していく予定である。
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Research Products
(22 results)