2011 Fiscal Year Annual Research Report
光変換前駆体法を利用したバルクへテロ層の薄膜構造制御と機能との相関の解明
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22350083
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山田 容子 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (20372724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 健一 山形大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20324808)
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Keywords | ペンタセン / 光反応 / 有機薄膜太陽電池 / バルクヘテロ構造 / 有機半導体 |
Research Abstract |
本研究は有機薄膜太陽電池に代表されるバルクヘテロ型有機薄膜層の層分離構造と機能との相関の解明を目的とする。特に、前駆体からアセン類への定量的光変換反応を利用し、新規光変換型前駆体を設計・開発すること、高分子や可溶性低分子と組み合わせたバルクヘテロ薄膜中に,蒸着法では不可能な薄膜構造制御を行い、薄膜の結晶成長過程や薄膜の微細構造と光電変換特性との相関を検証することを目的としている。2年目にあたる本年度は実施計画に基づき以下のように研究を行った。 計画1.ペンタセンジケトンを用いたペンタセンの導電性薄膜の構造と機能の相関の解明 本年度は、溶媒の種類、濃度、光照射強度と時間、アニーリング温度、表面処理剤などを系統的に調査し、本手法により作成したFET特性を0.1cm^2/Vsから0.86cm^2/Vsまで改善することに成功した。FET特性の向上と膜構造の相関をAFM,XRD,IRにより検討した。 計画2.薄膜構造への構造異性体や置換基効果の検討 6,13-ペンタセンジケトンと5,14-ペンタセンジケトンの光反応性、結晶性などを詳細に検討した。また薄膜構造制御を目的にアルキルペンタセンのジケトン前駆体の合成に着手し、いくつかのテトラアルキルペンタセンの合成に成功した。 計画3.n型半導体を含む新規のアセンジケトン化合物の開発と有機半導体への変換 新規チオフェン縮環アセンジケトンの合成に成功し、光反応性、FET特性、薄膜構造に関して詳細に検討した。 計画4.溶液塗布によるジケトン前駆体を含むバルクヘテロ層の構造制御 本手法を用いた溶液塗布型有機薄膜太陽電池の作成に着手し、まずn型材料にフラーレンを用いてpn接合型太陽電池を作成した。その結果、蒸着法により作成されたものに匹敵する性能を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペンタセンジケトン前駆体を利用したFET特性において、蒸着膜に匹敵する値がえられたため、本手法は実用可能なレベルに到達している。また、薄膜構造制御のための置換ペンタセンの合成もほぼ目処がたっている。さらにpn接合型太陽電池の作成も成功した。従って最終年度に塗布法によりバルクヘテロ型太陽電池を構築する準備は整ったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、n型材料と混ぜ合わせたバルクヘテロ構造を、溶液塗布と光変換により作成すること、得られたバルクヘテロデバイスの薄膜構造を詳細に検討し、光電変換効率との相関を見いだすこと、置換ペンタセン誘導体を利用して、薄膜構造を制御を行い、効率向上への指針を得ることを目的に研究を進める。
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Research Products
(21 results)