2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22350087
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大江 浩一 京都大学, 工学研究科, 教授 (90213636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 和紘 京都大学, 工学研究科, 助教 (30552658)
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Keywords | 9.9'-スピロフルオレン / ESIPT / 白色発光 |
Research Abstract |
有機エレクトロニクス材料の分野で注目されている9,9'-スピロビフルオレン構造に着目し、今年度は、その一つのベンゼン環をイミダゾールに置換した構造分子の合成法を確立し、励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)を利用して、補色二色発光による単分子白色発光材料の創製を目指した。得られた主な成果は下記の通りである。 橙色発光部位としてESIPTを起こし得る色素、3-(1,4,5-triphenyl)-1H-imidazol-2-yl]naphthalen-2-o1を利用し、青色発光を示す共役構造2,7-diaryl-9H-fluoreneを9,9'位スピロ構造で連結した分子を合成した。発光色を精密にチューニングできるよう、2,7-dibromo-9H-fluoren-9-oneを用い、クロスカップリング反応により、各種アリール基を導入した分子を合成した。合成したスピロ構造体は、溶液中青色発光を誘起する励起波長365nmで励起することにより390-410nmの青色発光に加え、ESIPTによる560-600nmの橙色発光を示し、その結果白色発光を実現できることがわかった(CIE色度座標で(0.39,0.34))。また、PMMAフィルムを作成し各種発光色を調べた結果、固体分散状態においても白色に極めて近い発光(CIE色度座標で(0.30,0.28))を示すことが明らかとなった。さらに、合成したスピロ構造体の発光に関与するπ分子軌道の解析を理論計算(DFT)により行い、発光に及ぼすスピロ構造の影響を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に、9,9'-スピロビフルオレン構造の一つのベンゼン環を様々な複素環に置換した分子構築法を確立し、種々の剛直π共役化合物の創製に成功している。例えば、(1)フラン含有スピロ化合物は強い蛍光発光を示すとともに、フラン化合物としては極めて高い熱安定性を示すことを明らかにした。また、(2)ピロール含有スピロフルオレンから得られる剛直な構造を有する近赤外発光性BODIPY色素を開発した。23年度は、新たな取組みとして、ESIPTに利用可能なイミダゾールを組み込んだスピロ化合物の合成に展開し、単分子による補色二色発光に成功し、白色発光材料創製の端緒を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に得られた成果により、発光機能性、耐久性に優れた剛直スピロ構造の優位性が示された。これにより、実用への展開を視野に入れた、固体白色発光材料の創製に向けてELデバイスの作成を含めた検討を始めている。π分子軌道の解析を理論計算(DFT)により行い、発光に及ぼすスピロ構造の影響を明らかにしたい。また、構造の一部変更(例えば、イミダゾールに換えて、オキサゾールやチアゾール)の検討を開始している。これにより、様々な剛直π共役複素環化合物の機能材料への応用展開の可能性を見極めたい。
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Research Products
(4 results)