2011 Fiscal Year Annual Research Report
高選択的陰イオン交換実現に向けた層状複水酸化物の層-陰イオン相互作用の解明
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22350090
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
笹井 亮 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (60314051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森吉 千佳子 広島大学, 理学研究科, 准教授 (00325143)
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Keywords | イオン交換 / 層状複水酸化物 / 表面・界面物性 / 精密構造解析 |
Research Abstract |
平成23年度は、平成22年度に引き続き、特に各種イオンを吸着した層状複水酸化物(LDH)の精密結晶構造・電荷密度分布の解明を目的として実験を実施した。また、同時にイオン交換反応の温度依存性を精査することで各種イオンとのイオン交換反応への水の影響を明らかにすることができた。 (1)平成22年度に品位が保障された水熱法により合成した炭酸イオンを層間イオンとしたMg-AlからなるLDHから、層間イオンとして塩化物イオンおよび硝酸イオンを保持したLDHを作製し、SPring-8にて粉末回折実験を行った。また、層間水の化学状態と結晶構造との相関を明らかにするために100~450Kまでの間の回折実験を行った。その結果、300K近傍で水の状態が大きく変わり、一部の水分子は層間から放出されることが明らかになった。また、この水の挙動は層間イオンにより異なることが明らかとなった。この水の挙動とイオン交換のしやすさについて現在、その相関関係について考察中である。また、この温度可変の測定の結果、層間イオンの熱振動がイオン種により大きく異なることも明らかとなり、現在この原因についても考察中である。 イオン交換反応の温度依存性については、278~353Kの範囲で硝酸イオン型から塩化物イオン型へのイオン交換反応実験を行うことで精査した。その結果、イオン交換のしやすさが温度に対して単純な変化は示さず、323K以上で交換反応の進行が抑制されることが明らかとなった。この現象は、(1)に示した回折実験で得られた水の挙動と良い相間を示すことから、現在その原因について熱的測定データを取得するとともに、考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭酸イオン型、塩化物イオン型、硝酸イオン型のMgとAlからなる層状複水酸化物の精密な結晶構造および電子密度分布を明らかに出来ている点、含有する水分子の挙動を明らかにするために温度を変えた回折実験をすでに行っている点、これらに加えて硝酸イオン型層状複水酸化物の塩化物イオン型へのイオン交換反応を温度を変えて行い、すでにデータを得ている点が理由として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られたデータに基づき、イオン交換の容易さと結晶構造の相関ならびにそれに対する水分子の影響を解明する。また、層を構成する金属種および金属組成の違いによるイオン交換性の違いを明らかにするために、NiとAlからなる層状複水酸化物(すでに合成済ならびに品質チェック済)を用いた実験を進め、層状複水酸化物のイオン交換特性の本質に迫る予定である。
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Research Products
(7 results)