2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハイパーブランチポリマーを用いた水系超潤滑システムの創成
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22350096
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 敏文 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80291235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
覚知 豊次 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80113538)
堺井 亮介 旭川工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (90507196)
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Keywords | 化学物理 / 環境材料 / 高分子合成 / 高分子構造・物性 / ナノ材料 |
Research Abstract |
自然界にはグリコーゲンなどを代表例として多くの分岐多糖が存在しており、その分岐構造の違いがそれらの機能発現に大きく関与している。これまでに我々はこのような分岐多糖を模倣した多糖合成について、1,6-アンヒドロ糖のカチオン開環マルチブランチング重合が有用であることを報告している。得られた多糖は多くの分岐構造を有するハイパーブランチポリマーで有り、その特異的な構造から高水溶性や低粘性を有している。本報告では、1,6-アンヒドロ-D-ヘキソフラノース(1-3)と1,6-アンヒドローD-ヘキソピラノース(4-6)から得られたハイパーブランチ多糖の化学構造と粘度の関係について報告する。 1,6-アンヒドロ-D-ヘキソフラノース(1-3)と1,6-アンヒドロ-D-ヘキソピラノース(4-6)の重合はアルゴン雰囲気下、熱カチオン触媒を用い、プロピレンカーボネート中で行った。20分後、重合物を大量のメタノールに注いだ後、不溶物を水とメタノールを用いた再沈殿により生成多糖を得た。粘度測定には分取SECにより分子量分画したハイパーブランチ多糖を使用した。 1,6-アンヒドロ-β-D-グルコフラノース(1)と1,6-アンヒドロ-β-D-マンノフラノース(2)の重合は不均一で、その他の1,6-アンヒドロ糖(1,6-アンヒドロ-α-D-ガラクトフラノース(3)、1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノース(4)、1,6-アンヒドロ-β-D-マンノピラノース(5)、1,6-アンヒドロ-β-D-ガラクトピラノース(6))の重合は均一で進行し、それぞれ白色の生成物を得た。この重合は主にアンヒドロ糖の開環による成長反応と水酸基からのプロトン移動を伴った連鎖移動反応によって進行し、重合条件により重量平均分子量が4×10^3から6×10^5程度のハイパーブランチ多糖を与えた。 生成多糖の固有粘度は非常に低く、4.9-7.4mL・g^<-1>であった。また、Mark-Houwink-Sakuradaプロットの係数aも非常に小さく、0.20-0.33であった。さらに、40wt%水溶液の定常流粘度測定の結果、生成多糖は高分子量体であるにも関わらず、ニュートン性流体として振る舞い、0.03-0.08Pa・sの値を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたポリマー構造と粘性の関係を明らかにすることが出来、また、すべてのサンプルで低摩擦(高潤滑性)を確認できたため、研究はおおむね順調に進展している。また、これらの研究成果は複数報誌上発表されており、関連分野の進展および領域の拡大に大きく貢献したものと考えられる。従って、本研究では当初の目的を十分に達成されたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究で得られた知見を基にさらなる研究の進展を図り,高性能な水系超潤滑システムの実用化などを目指す予定である。また、得られた研究成果については、今後学会や誌上での発表を積極的に行う。
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[Journal Article] Synthesis, Characterization, and Lectin Recognition of Hyper-branched Polysaccharide Obtained from 1,6-Anhydro-D-hexofuranose2011
Author(s)
Hoai, N.T., Sasaki, A., Sasaki, M., Kaga, H.,Kakuchi, T.,Satoh, T.
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Journal Title
Biomacromolecules
Volume: 12(5)
Pages: 1891-1899
DOI
Peer Reviewed
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