2010 Fiscal Year Annual Research Report
イオウ吸収端での異常小角X線散乱によるゴム中のイオウ分散状態の解析
Project/Area Number |
22350098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雨宮 慶幸 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70151131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 佑也 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (60451861)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 放射線、X線、粒子線 / 構造・機能材料 |
Research Abstract |
本研究では大型放射光施設SPring-8の軟X線用分光ビームラインBL27SUにて、イオウのK吸収端での異常小角X線散乱実験技術・解析技術を開発し、同手法を用いてゴム中でのイオウによる散乱を特異的に抽出し、イオウの分散状態を解明することを目的としている。平成22年度は主にイオウK吸収端における異常小角X線散乱法の高精度化を実施した。 本研究課題実施以前から異常小角X線散乱実験の実施のためには、1.入射X線強度が十分ではない、2.検出器のS/Nが十分ではない、という2つの問題点が明らかとなっていた。1番目の問題については、連携研究者の為則(SPring-8)により新規にシリコン単結晶の分光器を導入し、入射強度の増大を確認した。また入射強度が増大したために寄生散乱の除去による小角分解能の向上や強度測定の高精度化を実施することに成功した。また2番目の問題に関しては、直接型・間接型X線検出器それぞれについての検討を実施した結果、間接型X線検出器の導入を決定し、蛍光体の厚み・材質や蛍光体・CCD間の光伝送方式を最適化することで、現状では軟X線小角散乱実験に最適と考えられる検出器を導入した。これを実際の実験に用いることで、既存の検出器と比べて一桁近いS/Nの向上を確認した。 一方、検出器位置でのビーム広がりに起因した散乱像のボケによる角度分解能を向上するために、広がり補正のソフトウェア開発を開始した。現在、通常の硬X線小角散乱実験のデータに適用することで検討を進めている。
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