2010 Fiscal Year Annual Research Report
水の相転移挙動から観た高分子材料の生体適合性の発現機構
Project/Area Number |
22350101
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北野 博巳 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 教授 (40115829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
源明 誠 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 助教 (70334711)
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Keywords | 高分子ブラシ / 両性高分子 / 和周波発生法 / O-H伸縮振動 / 水の構造 / RAFT重合 |
Research Abstract |
本年度、物質材料研究機構の魚崎浩平教授、野口秀典准教授との共同研究により、両性高分子ブラシ近傍の水を、和周波発生(Sum Frequency Generation,SFG)法により調査した。可逆的付加解裂連鎖移動(Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer,RAFT)重合により得られるカチオン性及びアニオン性モノマーを等量含んだ両性高分子により修飾された溶融石英表面は、それぞれが単独で修飾されている溶融石英表面と比較して、2800-3800cm^<-1>に現れるO-H伸縮振動帯のSFG強度の低下が観測された。これは、電気二重層の厚みと相関があると考えられる。たとえば、pHを一定にしながら、種々のイオン強度をもつ電解質溶液でSFGスペクトルを観測すると、界面水のSFGピーク強度がイオン強度の平方根の逆数に比例して変化する。つまり、SFGピーク強度は界面に形成される電気二重層の厚みに比例するため、SFGで観測された界面水は主に電気二重層中で配向しているものであると考えられる。このことを踏まえると、両性高分子を修飾した溶融石英表面は、カチオン性またはアニオン性高分子を修飾した溶融石英表面に比べ電気二重層の厚みが薄く、水の構造が大きく乱れてはいないことを示唆しており、Raman散乱法で得られた両性高分子の測定結果やRichmondらの報告とよい一致を示した。
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Research Products
(7 results)