2012 Fiscal Year Annual Research Report
超微細繊維構造を特徴とする新規な生体接着・接合材料の創出
Project/Area Number |
22350103
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大川 浩作 信州大学, 繊維学部, 准教授 (60291390)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生物由来高分子 / ナノファイバー / 水中接着 / 水中接合 / エレクトロスピニング / 超微細繊維不織布 |
Research Abstract |
平成24年度に発表した論文の概要は、主に、セルロースおよびキトサン等の天然多糖、または、ヒドロキシプロピルセルロース等の修飾多糖溶液をエレクトロスピニングして作成した微細繊維不織布を化学修飾し、保護アミノ酸およびペプチド等の接着機能性を持つ分子を微細繊維表面に化学結合により導入することに成功した。この様に作成した接着分子結合微細繊維不織布を適切な酸または塩基性条件下で処理を行い、保護基の除去も可能であることが分かった。このような手法を用いることで、コンジュゲート分子合成を経由せずとも微細繊維不織布の機構化が可能であり、母体高分子として多糖だけでなくタンパク質系高分子も利用可能となった。この成果により、新規な水中接着・繊維形成能を持つ水生昆虫由来のシルクタンパク質に着目し、その精製およびアミノ酸配列の解析を行った。水生昆虫シルクタンパク質は、非常に高度にホスホリル化を受けていることが判明し、このような性質は生体組織接合、特に、硬組織の接着に適していると考えられる。そこで、水生昆虫シルクタンパク質を原料とし、エレクトロスピニングにより微細繊維化をこころみたところ、平均繊維直径が110nm以下のナノファイバー不織布を得ることに成功した。この成果により、コンジュゲート化を経由すること無く、キトサン、セルロース、シルクタンパク質のコンポジットナノファイバー不織布を得、これらの試料を用いてバイオメディカルマテリアル研究への展開が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したとおり、平成25年度実施予定の研究課題実施のための基礎知見、ならびに、論文発表は順調に進捗していると判断する。平成24年度に学協会に発表した件数は前年度よりも多数であり、さらに、調査活動成果一部は、2編の書籍として出版した。これらは、生物由来接着物質の利用工学およびエレクトロスピニングを経るセルロースナノファイバー作成法に関する新技術に関するものである。総じて当初計画のとおりに進行しているが、最終年度の一年間で生体適合性などの調査が完了すれば、当初目的はほぼ達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、これまでに作成した幾つかの微細繊維材料と生体 (組織) 表面とのインターフェーシング(相互作用評価) に関する実験を実施する。微細繊維材料として、これまでに、(i) 合成コンジュゲート分子を含む複合微細繊維、(ii) 繊維タンパク質系天然微細繊維(研究成果欄参照)、(iii) 化学修飾(機能化)微細繊維、さらに、(iv) 主要な天然多糖2種であるキトサン-セルロースナノファイバー不織布の4系統を得ている。これらに加え、評価対象の生体組織の選択も含めると組み合わせは多種多様となる。そこで、最初に培養細胞系を用いるインターフェーシングを実施する計画である。当初計画に基づく候補は骨芽細胞または繊維芽細胞であり、上記 (i)-(iv)の微細繊維材料上での培養時における細胞挙動を評価する。次いで、インプラント実験系に展開する予定である。
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Research Products
(27 results)