2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体のミクロ相分離を利用した金クラスターの空間制御と触媒機能解析
Project/Area Number |
22350105
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉田 博久 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (20094287)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 金ナノ粒子 / ブロック共重合体 |
Research Abstract |
平成23年度の成果では、ブロック共重合体が形成する親水性ナノシリンダー中にドープする金イオン量が、ドープ温度に依存することが明らかになったので、今年度は親水性ナノシリンダー中にドープした金イオンの量の見積もりを、X線反射率測定から求まる表面密度とシリンダー深さ方法の密度分布から行った。 その結果、親水性ナノシリンダーが形成されている疎水性マトリックスのガラス転移温度以下である25℃で金イオンをドープすると、吸着平衡状態で金イオンはナノシリンダーの上部20nm程度の深さまで侵入することが判った。一方疎水性マトリックスのガラス転移温度以上である45℃では、金イオンはナノシリンダーの全体に金イオンがドープする。ドープ温度によって各シリンダーに吸着する金イオン量を調整することが可能である。 金イオンドープ量を変化させた後に水素還元によって金粒子を調整し、透過型電子顕微鏡と原子間力顕微鏡ならびに斜入射小角X線散乱によって評価した。その結果、直径が2~3nmの金ナノ粒子と直径10nmの金ロッドが二次元に規則配列した状態で得ることができた。金ナノ粒子とナノロッドは反応場の親水性ナノシリンダー表面に存在することも分かった。 シリコン基板上に作成した両親媒性ブロック共重合体薄膜の親水性ナノシリンダーを基板に垂直に配列し、金イオンをドープして水素還元で金ナノ粒子を調整し、ブロック共重合体薄膜表面に直径が4nmの金ナノ粒子が存在していることを確認し、金ナノ粒子の触媒特性の評価を行った。触媒特性はグルコースの水溶液中での酸化反応で評価を試みたが、明確な触媒特性は得られなかった。その原因を検討するために、金ナノ粒子の状態を原子間力顕微鏡で観察し、一部脱落が見られ、当該金ナノ粒子は反応中にブロック共重合体薄膜から離脱する可能性があることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サイズを制御した直径が2~3nmの金ナノ粒子の合成は成功したが、当該金ナノ粒子の触媒特性の評価までに至らない。原因として考えらるのは以下の点である。 1反応評価に用いたシリコン基板が1cm四方で、金ナノ粒子の総数が少ないため、触媒反応を把握できていない。 2ブロック共重合体のシリンダー表面に金ナノ粒子が存在していて、触媒反応評価の際に物理的な離脱が起こり、反応に寄与することができない。 3金ナノ粒子の担持が高分子(ポリエチレンオキシド)でこの高分子が形成した金ナノ粒子の表面にも存在し、グルコースと金ナノ粒子の接触を阻害している。 4金ナノ粒子の触媒活性は担体の影響を受ける。高分子担体は金属酸化物担体よりも触媒活性は低いことが知られていて、ポリエチレンオキシドが担体として適当かどうかの検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
金ナノ粒子の触媒機能評価を進めるために、以下の研究を実施する。 1金ナノ粒子濃度を高くするため、反応場となる両親媒性ブロック共重合体薄膜の基板をシリコンウェハーではなく、PETフィルムを利用し、反応場の面積を広げる工夫をする。 2反応場となるブロック共重合体薄膜表面のポリエチレンオキシド薄膜の状態を解析し、効率的な金イオンドープ条件を探索する。 3金ナノ粒子の担体であるポリエチレンオキシドをポリ乳酸に変えた両親媒性ブロック共重合体を反応場として利用する。 4ブロック共重合体のナノシリンダーを反応場として利用する可能性を、金ナノ粒子以外の無機ナノ粒子の合成について検討する。
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