2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子を用いた高効率カルコパイライト系太陽電池の研究
Project/Area Number |
22360006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40220363)
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Keywords | 太陽電池 / Cu(InGa)Se_2 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
高効率Cu(InGa)Se_2薄膜太陽電池の低コスト化を図るために、非真空プロセスによるCIGS薄膜形成手法を研究・開発した。具体的には、溶液からのナノ粒子の合成、印刷、焼結プロセスを経て、CIGS薄膜の作製を試みた。 当初は、ナノ粒子としてCuInSe_2(CIS)を合成し、薄膜を形成した。しかしこの場合には、膜の粒径等が小さく膜質も低かった。そこで、Cu-SeおよびIn-Seナノ粒子より薄膜を形成する手法を新たに開発した。これは、Cu-Seの融点が530℃付近に存在するため焼結時にこの溶融Cu-Se相を介して結晶の成長が期待されること、アモルファス状CISからの合成よりもCu-Se、In-Seからの合成の方が生成エンタルピーの差が大きく、焼結時に生成熱を利用できると考えられたからである。実験の結果、Cu-Se、In-Seナノ粒子からの膜形成の方が結晶粒が大きく、またX線の回折強度が強く、高品質膜が得られることが明らかとなった。さらに、焼結時にチオウレアを焼結助剤として添加することを新たに提案した。その結果、膜の緻密性、Mo基板との密着性が向上することが明らかとなった。また、実験過程より、In-Seナノ粒子から合成されるIn_2S_3がCIGS太陽電池のバッファ層に適用可能であることを発見、特許出願を行うことができた。 以上の実験結果より、初年度、Mo基板上CIS膜の形成手法を確立することに成功した。次年度は、得られたCISをセル化し、太陽電池評価を通して本手法の有効性を実証して行く予定である。
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