2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子を用いた高効率カルコパイライト系太陽電池の研究
Project/Area Number |
22360006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40220363)
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Keywords | 太陽電池 / Cu(InGa)Se_2 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
わが国のエネルギー問題の解決に資するため、高効率・低コストCu(InGa)Se_2薄膜太陽電池を作製するための技術開発を行なっている。ここでは太陽電池製造プロセスの画期的な低コスト化を図るため、従来、真空プロセスにより作製されていた太陽電池を真空プロセスを用いず、非真空プロセスにより作製する技術を開発している。 昨年度は、Cu-Se、In-Seのナノ粒子から熱アニールによりCu(InGa)Se_2薄膜を作製する技術を開発した。本年度は、得られた薄膜のセル化プロセスに着手した。太陽電池構造は、ガラス/Cu(InGa)Se_2/CdS/ZnO/Alである。n形半導体であるCdSは溶液成長法により、透明導電膜であるZnOは有機金属気相成長法により作製した。最後にアルミニウム電極を設けた。この構造の太陽電池により、変換効率3%台の太陽電池作製に成功した。この成果は、本研究が提案している非真空プロセスによるCu(InGa)Se_2薄膜太陽電池実現に向けた大きな成果である。 次に、さらなる変換効率向上を目指し、太陽電池のアニールを試みた。アニールはナノ粒子を塗布後、N_2雰囲気下ならびにH_2を含むN2雰囲気下において行った。その結果、N_2雰囲気下のアニールにおいて変換効率2.3%(Voc=0.338V,Jsc=18.1mA/cm^2,FF=0,371)であったものが、H2を含むN2雰囲気下のアニールにおいて変換効率は3.2%(Voc=0.481V,Jsc=16.0mA/cm^2,FF=0.412)まで向上した。特に、開放電圧(Voc)の向上が顕著であり、H_2アニールの有効性が実証された。次年度は、さらなる変換効率向上を目指して実験を遂行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非真空プロセスによるCu(InGa)Se_2薄膜太陽電池の開発は、当初の計画通り進展し、本年度は太陽電池を作製することに成功、変換効率として3.2%を得た。ナノ粒子の被覆によるバンドギャップ制御に関しては、太陽電池の作製に注力したため、当初計画より幾分遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
太陽電池の作製に関しては、真空プロセスによるCu(InGa)Se_2太陽電池より開放電圧が低いという問題点がある。これは、焼結時に発生するクラックが原因であることが明らかとなっている。今後は、このクラック低減を目指して研究を推進する。 CIGSナノ粒子のバンドギャップ制御に関しては、ナノ粒子をCdSにより被覆、フォトルミネッセンス法などを用いてバンドギャップを評価、その可能性を検証していく予定である。
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Research Products
(2 results)