2010 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ-赤外二次元相関分光の開発と高分子集合体の機能発現の解明
Project/Area Number |
22360011
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
保科 宏道 独立行政法人理化学研究所, テラヘルツイメージング研究チーム, 基幹研究所研究員 (10419004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森澤 勇介 関西学院大学, 理工学研究科, 博士研究員 (60510021)
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Keywords | テラヘルツ分光 / ポリマー / PHB / 二次元相関分光 / 高次構造 |
Research Abstract |
本研究では二次元相関分光法によって,従来研究されてきた赤外スペクトルとTHzスペクトルを結びつけ,この周波数領域に現れる吸収の起源を明らかにすることを目的としている. 本年度は生分解性ポリマーであるポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシブタン酸(PHV)のテラヘルツ吸収スペクトルを測定した.測定にはテラヘルツ時間領域分光法および遠赤外フーリエ変換分光器を使用し,0.3~20THzの範囲で吸収分光を行った.PHBに関しては,本研究費で購入したテラヘルツ分光用温調セルを用いて,サンプルの温度を10Kから430Kまで変化させ,温度変化に伴うPHBの高次構造の変化がテラヘルツ吸収スペクトル上でどのような変化として現れるかを研究した. 測定したスペクトル変化の起源を明らかにするため,二次元相関分光法を用いてスペクトル変化の相関を二次元平面上にプロットし,重なり合ったスペクトル構造の分離を試みた.その結果,PHB中のラメラ結晶とアモルファスの成分が分離して観測された.さらに,アモルファス成分の変化が90℃を境に大きく変わっていることが明らかになった.これは,従来DSC等によって観測されている90℃付近におけるアモルファスの結晶化がテラヘルツスペクトル上で観測されている事を示している.また,テラヘルツスペクトルと赤外スペクトルの共相関を二次元相関分光によって解析した結果でも同様のスペクトル変化が見られ,テラヘルツ分光によって得られた新しい実験結果を,既知の赤外吸収分光の結果を二次元相関分光によって比較する解析手法が有効であることが示された.
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